さて、ゴエンカ師のヴィッパサナー協会のコースに出席したその足で、前々から約束していた友人との熱海旅行にジョインしました。
で、友人のつながりで同じくヴィパッサナー瞑想をする「日本テーラワーダ仏教協会」という原始仏教系の宗派の尼寺に偶然泊まることになりました。
友人自身は宗教すべてにたぶん自分で考えて距離を取っている人なのですが、人生の色々なつながりでここの尼寺の尼様達ととても親しく、いつでも顔パスで宿坊に泊まりに来てよいという事になっていて、ふらりと熱海に来たいときには甘えさせていただいているそうです。
私にしても偶然とはいえまたヴィパッサナー瞑想と原始仏教に1つ触れてから日常に戻るというこれ以上ない良い流れとなりました。
日本テーラワーダ仏教協会
友人と落ち合って熱海について、彼女が好きな昭和の名残のただよう喫茶店めぐりをして、お寺に連絡をしたら尼様がなんと車で迎えに来てくださいました。
坂道の続く熱海を車でどんどん上って、山の上の方の住宅地なのか別荘地なのか、建物が多く建つ地区の、外見はお寺よりもサイズの大きい個人の別荘、のような作りのお寺に着きました。
中はお寺として仏像(ご本尊は仏塔だったけれど、そこのお寺になる前にあったらしいお釈迦様とお不動様もおいででした)のある本堂(っていうのかな・勤行するお部屋)、同じ建物内に瞑想合宿をするための女性用宿泊施設、隣接する建物に男性用の宿泊施設があります。
私たちは合宿がないときだったので泊めていただけたのですが、合宿があるときには10人くらいの参加者で寝泊まりがあるようでした。
60歳代と90歳近い2人の尼様がお寺を守っておられて、今は主にお若い方のH尼が動かれています。
ただ寝かせてもらうだけかと思ったら、温かいおでんと炊き立てのご飯でお腹いっぱいにおもてなしいただき、付近の温泉施設に車を出していただいてお風呂につかり、帰りには観光客向けに催されている花火も堪能させていただきました。
私がヴィパッサナー瞑想のコースから帰ってきたばかりだというので、同じ(けどやり方は多少違う)ヴィパッサナー瞑想で修行をするテーラワーダ仏教の尼様は興味津々、たくさんお話をさせていただきました。
全然、「お寺」「尼さん」って感じがしない賑やかで楽しい方々でした。
疲れていたのでその日は夜更かししないでコロッと眠ってしまい、翌朝5時からの勤行と瞑想に参加させていただきました。
日本テーラワーダ仏教協会のスリランカ人で日本語もペラペラの「長老」アルボムッレ・スマナサーラ師のパーリー語の読経の音声に合わせて、一緒にパーリー語の経典を音読します。
左ページにパーリー語にカタカナのルビがふってある原文と右ページに日本語訳が書かれているお経の読本を貸していただいて、延々1時間読経します。
読経していてあっ、と気が付いたのは千葉のコースで毎朝6時から瞑想ホールで流されるゴエンカ師のチャントが同じお経だったという事。
節回しはゴエンカ師がちょっとアップテンポで明るくてダンサブルな感じなのに対しスマナサーラ長老はどちらかというと短調でしんみりしているのですが、同じ経典でした。
おお、続けてここに来なければゴエンカ師のあのチャントは私の中では永遠に「踊るマハラジャ」でしかなかったわ!
日本語訳が横についているので、何を詠唱していたのかゴエンカ師のチャントもろともに内容が理解されてとても良かったです。
「慈悲の瞑想」、メッター・バーバナをテーラワーダ仏教協会でもとても大切にしていて、長老の声で日本語の言葉で詠唱されて一緒に唱和します。
ちょっと休憩をはさんで、また1時間、今度は瞑想をします。
こちらの宗派のヴィパッサナー瞑想では、まず立つ瞑想を10分してから座る瞑想を50分しました。
「立つ瞑想」はゴエンカ師式のコースではしなかったので軽く解説をいただいて、とにかく立っているときに感じる自分の体の感覚に集中します。
座る瞑想になると、こちらの方法では体に起っている感覚を順不同に拾い上げていくようですが、私はゴエンカ式に頭の上から体のサーチをする形を取りました。
日本テーラワーダ仏教協会でのヴィパッサナー瞑想の方法はこちらに解説あります。http://www.j-theravada.net/4-vipassa.html
自分の体に起こっている事実や感覚に集中すること、というところは同じですがゴエンカ師式は(ゴエンカ師、というかミャンマー式ってことなんでしょうか)座ることに特化したような部分がありますが、テーラワーダ式(スリランカ式?)は「実況」「ラべリング」、頭の中で言語化することに比重があるように思いました。
読経と瞑想を終えて清々しいところで、H尼が腕を振るって朝食を作ってくださいます。
朝からたっぷりしたポテトサラダにキノコがいっぱいのスパニッシュオムレツ、炊き立てごはんにおつけものにアツアツのお味噌汁、デザートに洋ナシとコーヒーゼリーとサクランボの香りの紅茶まで出て素晴らしいありがたいおもてなしを受けました。
(こちらの宗派では卵と加工品は精進ものに含まれるようになっているようです。)
男性の門徒さんもお一人参加して、にぎやかに楽しく朝食を囲みました。
とにかくこのH尼も89歳のM尼もとても明るい賑やかな方々で、全然宗教臭くないのです。
美味しく食べてわーわー話して、朗らかに笑います。
M尼はご病気で腸に袋が付いている状態なのですが、読経の声は大きく力強く、朝もご自分でタクシーを呼んで明るく病院に通院されていきました。
なんだかいいなぁ、母を見送ったらこちらの宗派で出家して尼さんになろうかしら、とまで思ってしまいました。
出家は無理でも、手が空いたら今はほとんど一人で合宿の皆さんのお世話をしているH尼を助けに寺女としてお手伝いをさせえいただきたいな、と思いました。
ちょっといいと思いません??
お寺で合宿をする方々のお世話をこまごまとしながら時々できるときがあったら陶芸をするのも。
今回のヴィパッサナー瞑想合宿と〆の熱海の尼寺とのご縁で、何となくですが修行好きで、修行の核のようなものを求めていた私にテーラワーダ仏教、上座部仏教という方向が見えてきたような気もします。