U-NEXTの溜まったポイントを一掃しようという企画。
2本目はこちらの自ブログで一部を紹介した
http://ameblo.jp/newtako/entry-12226779715.html
「マイケル・ムーアの世界侵略のススメ」。
全てがうまくいかなくなっているアメリカに対する特効薬をおもにヨーロッパから「盗んでくる」ことで打開策を見出そうぜ、とマイケル・ムーア監督が星条旗を引っ提げてイタリア、フィンランド、ドイツ、ポルトガル、フランス、アイスランド、ノルウェー、と周っていく。
YouTubeに出ているフィンランドの自由な教育の話を観て全編みたいと思ったわけです。
イタリアとドイツのたっぷりのバカンスと労働組合の強さ、ポルトガルの麻薬に対する姿勢、フランスの子供でも(だからこそ)まっとうな食事を大切にする在り方、アイスランドの女性の社会進出ぶり、ノルウェーの死刑の廃止と自由すぎる監獄。
観ていると世界中の良い制度を集めてみんなで幸せになれないもんなのか、
それを阻んでいるのは何と誰なんだろう、とか考え込んでしまう。
ノルウェーの死刑廃止の話も心に残った。
子供が集まるサマーキャンプの島で54人を銃乱射で殺傷した青年への判決も懲役21年。
息子を亡くした遺族にムーア監督が「刑を軽いと思わないのか」「復讐が可能ならするか」の問いに「犯人と同じ地点に降りていくことはできない」「人は人に罰を与えることは不可能だ」と答えが返る。
この大量殺人事件が起こった時に、ノルウェーの世論は「犯罪に対する刑罰を厳しくしよう」でなく「いまこそ今の(良き)ノルウェーを守ろう」ということになったんだそうだ。
世論が成熟しているね。
しかしこの映画の撮影時は少し前で、今現在のテロと移民とデモで大揺れのヨーロッパとは少しずれた「かつての良きヨーロッパ」であるともいえる。
今ヨーロッパに押し寄せている難民の皆さんを作り出した紛争ってアメリカが変に介入しなかったら良かったんじゃないの、と思うことも多いので もしかしてアメリカの「世界侵略」は図らずも着々と進んでいるんではないか、と思いついたら口の中に何か苦いものが残った。
アメリカよ、頼むから世界を放っておいてくれないか。
マイケル・ムーア監督がベルリンの壁が崩壊するときに現場に居て、人々に交じってノミとハンマーを振るってみんなで一緒に壁を壊した人でもあるというのは知らなかった。
映画の最後にその当時一緒にベルリンで壁を壊した友人と再会するところで映画は終わる。
ベルリンの壁が崩壊するなんて、冷戦時代に子供だったムーア監督には夢にも考えたことがないことだった。
だけど、ノミとハンマーでちょっとずつ叩く人が出てきて、みんなで叩いたらどうなった?
映画はそんな希望を感じさせる言葉で締めくくられる。
この映画が出来てから世界の情勢はさらにナニになってるんですけれど、それでもなお、叩き続けようという気になる温かい映画でした。