「人が近づくと危険な放射線を出し続ける核のごみの処分を受け入れる地域を探すのが大変なためだ。」。これは9月29日付けの日本経済新聞朝刊18面の記事の一文だ。
人が近づくと、それがトリガーとなって、核が放射能を出し始める、かの如くにも読めてしまう。というのは私は最初、半信半疑で、そう解釈し、「核はそういうものなのか」と新しい知識なのかもしれないと考えたからだ。しかし、数秒後に、これは文章上の欠陥である事に気づいた。

・「人が近づくと危険」な放射能を出す核のごみ
Nuclear waste that emits radiation that is dangerous when people come near it.
・もし人が近づけば、危険な放射能を出す核のごみ
Nuclear waste that emits dangerous radiation if people come near it.
そもそもこれは入れ子構造の多重性が多すぎる。
「「「「「「「人が近づくと」危険」な放射線」を出し続ける核」のごみ」の処分」を受け入れる」地域」を探すのが大変なためだ。
プロの文章としては失格で、避けるべき文章だ。
おそらく、「人が近づくと危険な放射線を出し続ける」は自明的で、独立させて一文とする事に記者は気が引けたのではないかと思う。そして、自明的ではあるものの、証明の為の文章を書くと長くなってしまう欠点を持つ。
「放射線を出し続ける核のごみの処分を受け入れる地域を探すのが大変なためだ。」。これでもいいが、「人が近づくと危険」がないと、「探すのが大変」な理由がない。しかし、危険な事は新聞を読む人なら誰でも知っている。とはいえ、それを明示しなければならない、というジレンマを新聞記事は持つ。字詰め的には、残り3文字追加できるようだが、抜本的な改善には寄与しそうにない。
しかし、記者はそこまで考慮したかどうかさえ怪しい。これは記者が暗黙知に従って、誤読可能性を看過したに過ぎないかもしれない。
ChatGPTは、この誤読可能性箇所が分からず、他の誤読可能性を挙げた。
Claudeは、この誤読可能性箇所を挙げたが軽微な誤読可能性箇所だと判定し、他の誤読可能性の方が重要だと指摘した。
もし記者が誤読可能性を看過したとするならば、それはAI的な思考に陥っていたといえるだろう。