暗闇やよく分からないものに恐怖を感じたり警戒心を抱くのは、それらが虚空の性質に似ているからだ。虚空の性質とは知覚できない事である。知覚できない事が在る事は、「私」の非存在につながる。「私」は知覚を複雑化・多様化する事によって知覚できない事を減らしてきた存在(進化論的な説明だが、生物は皆一つの存在だという前提だ。さらに物質も含めて存在は一つである)であるが、その目的は「私」の実在的な存在性を高めるためだ。
つまり「私」とは、本来、道徳であり、即ち規範であり、従って非実在的な存在であって、実在感しか得ることは出来ない。しかし、この実在感がある事こそが世界に実在的に存在している事、そのものである。「私」は、感覚・意識を通じて実在感を得る。
肉体が「私」の思い通りに動く事、肉体を通じて感覚を得る事ができる事、実在を認める事の出来る他者が「私」と同じである事を知る事、世界が「私」の思い通りにはならない事、今、思いつくのはこの4点くらいだが、この4点が私の実在性をかなりのレベルまで保証している。完全な保証ではないために、死ぬまで実在の証明を行おうとするのである。
