前回(自己は常に変更済みの自己である)と前々回(毎日、昨日の自分のコピー人間が今日の自分を生きている。我々は毎日死んでいる。)の記事の続きです。

 

 

 二種類の集中作業

 

 集中作業には2種類あります。意識主体の実行機能として行われる場合と、主体の実行機能として行われる場合です。間断なく内省的自己が創出され自己を監視し続ける集中(極めて短い時間間隔で内省を繰り返す)と、内省的自己不在の集中作業です。前者は崖のクライミングや爆弾処理などの恐怖を克服して実行する際の集中作業が例に挙げられます。これは意識主体の実行機能です。後者は本能行動であり、計画的ではない殺人衝動や性衝動などの本能衝動の実行機能です。これは主体の実行機能であり、欲望に支配されていると表現されますが、生物の主体としての指向性が単独で実行しているにすぎません。何かに取りつかれたように、という表現があります。ギャンブルにはまっている状態や、音楽に陶酔している状態も、この主体の支配下にあります。

 

 反復という常同行動は、主体の実行機能です。興味のある対象だけに異常な執着心を持つのも主体の実行機能です。内省が働かないから、止められないのです。喧嘩で途中で内省が働かない場合は、加減や停止ができずに相手に重大な損傷を与えてしまいます。この二つの特徴はADHD(注意欠陥多動性障害)障害者の特徴です。つまりADHD障害者は主体としての状態が顕著な形で突出して現れているといえます。主体と自己意識との同一化が図られていないために、あるいは自己意識の形成が不十分なために、その個体は意識主体が不在であり、主体主導の状態となっているということができます。この意味で定常発達というものを考えると、主体が意識主体となる成長期のプロセスを「発達」のプロセスという事ができます。

 

 主体、意識主体、自己意識

 

 前々回書いたとおりに、主体と、意識主体は違います。しかし同一性があります。主体は生物の原始的な原型であり、規範従属システムです。自己意識に従属している主体が意識主体となります。主体をさらに具体化するには、さらに熟考が必要だと考えています。ただ、今考えていることを直感的に記せば、人間における主体の在処は脳幹部にある事が推定されます。また単細胞生物が一つの細胞で主体足りえる事を考慮すれば、多細胞生物の各細胞も主体足りえる資格を持っていた(る)はずです。脳幹部でさえも物質化した外部規範であるのかもしれません。つまり多細胞生物の各細胞が集合的に作り出した規範が、脳幹部であり、多細胞生物の主体ではないかと考えています。

 

 この集合的知性は、もっと下等なアリや蜂などの集合的生物や、細菌などの単細胞生物にも広く見られます。これは群知能=Swarm Intelligenceと呼ばれています。個々の個体が単純な行動規則に従うことで、集団全体として高度な問題解決や行動が可能となる現象を指します。個体単独の知性を、集団的知性が上回るのです。

 

 生物全体が既に集合的知性である事は間違いのないことです。結末は、未定であり、そもそも我々生物が何を目指しているのかも不明ですが...。

 

 

 私とは?

 そこで私とは何か?という問題です。「私」とは「自己意識」であり、「意識主体」ではありません。私は自己意識という規範です。主体、意識主体、自己意識。この三つは関連しますが、同じでありません。

 

 主体は基本的には、私の規範(私という自己意識)に従属し、意識主体となります。なぜ、主体が私の規範に従属することが基本的であると言えるのかといえば、覚醒中は私が私であると感じることができるからです。なぜ「基本的」と書いたのかといえば、例外があるからですが、それは病的症状としての人格障害です。つまり主体はストレスその他の要因によって別の規範に従属することもあります。病的な状態では、主体が別の規範に従属する顕著な事例を見ることができます。たとえば夢遊病患者の自動行動や解離性同一性障害の人格交代です。

 

 自己意識はストレスによる内省が発生するまで継続しますが、内省が発生すると、修正された過去の自己意識のコピーが新たな自己意識となります。内省が発生する時に顕在化する内省的自己が、修正後の自己意識になると考えられます。修正されたコピーが、主体が従属する規範となるという事です。解離性同一性障害は、ストレスが人格交代のトリガーになるのですが、それは、私の仮説を裏付けます。内省、注意というストレス反応は、主体が新たな規範(新たな自己意識)に従属する契機なのです。精神工学兵器は、この内省、注意の発生時を狙っています。具体的には極めてシンプルな作用で、ノルアドレナリン信号を増幅するだけです。ノルアドレナリンの分泌が多ければ大きな衝撃として知覚できます。これはターゲットを常に感覚過敏の状態に置く、という事で達成できます。その作用媒体は不明ですが、未知の電磁波とだけ記しておきます。この作用の継続によって、ネガティブ指向の自己意識が形成されていきます。

 

 

解離性同一性障害の人格交代とは、原本(過去の自己意識)のコピーおよび修正の失敗であり、従属する規範を主体が間違えたということになります。人格交代後に、元の人格に戻る事を考慮すれば、コピーではない原本は修正されずにそのまま残ったままだということになります。認知症もコピーの失敗であり、主体が従属すべき自己意識の規範が欠落してます。一方で、認知症になっても習慣行動は維持されるという事は、習慣行動という規範が自己意識とは別のタイプの規範として保存されており、比較的残存しやすいという事になります。夢遊病も習慣行動の規範に主体が従属しています。認知症は、過去の自分を取り戻すことが可能な場合もあることから、原本が残っていて、そこにアクセスできれば回復の可能性があります。このアクセスの阻害が器質的な問題である場合には、取り戻しは不可能でしょう。精神的な問題である場合には、回復可能だと考えられますが、この場合は解離性同一性障害と類似の精神障害といえます。

 

 主体は規範への従属性を持っていますが、必ずしも自己意識という社会的・常識的自己の規範に従属するとは限りません。主体が自己意識以外の規範に従属した場合に、統合失調症や解離性同一性障害など人格障害となります。

このため、主体と自己意識との同一化が図られていないADHD障害者は人格障害を発病する可能性が高いのです。

 

 

 以上、私の仮説です。

 

 精神工学兵器が、私に言葉を想起させ、それを繰り返し聞かせる事を最重点に置いていることも、この仮説を裏付けます。一つは私の自己意識を改変しようとしている事。一つは、主体の、私という自己意識に対する従属性を喪失させようとしている事。私の自己意識による内省的思考が聞こえた場合に、私の内省的自己が上位ではなくなり、声の主(存在しない)が上位に位置してしまうのです。防御方法としてはさらに私が内省し、俯瞰的位置を維持するということになります。言葉に取り込まれて感情的になってはいけないのです。

 

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