算発表本格化を控えて、個別の実態判断がより重要視される局面。そんな時に重宝するのが、アナリストの投資判断(レーティング)だ。
表 主要外資系証券のサプライズ・レーティング
少し前には、野村証券の買い推奨した銘柄に、大きく反応し急騰する銘柄が相次いだ時期があった。アナリストの判断を尊重して、というよりは、野村のレーティングに目先筋が便乗した結果、という側面も色濃い様子だが、最近でも、外資系証券各社の投資判断変更への感応度の高さが指摘されている。
表は、ここ2週間ほどに出された、比較的、意外性の高い、投資判断(や目標株価)変更の一例だ。全体的に見て、相場は調整期を迎えたものの、引き続きポジティブな判断変更が目立っている。この辺には、「マクロの景況感とは裏腹に、個別ベースでの足元の改善ぶりを示すもの」(野村証券・佐藤雅彦マーケットアナリスト)といった声も聞かれる。
アナリストレポートを受けて買われた例で、例えばダイハツ工業(7262)。ここ1カ月ほどでは、モルガン、日興シティ、大和などが「中立」としていた銘柄だが、7月6日にドイツ証券が1075円目標で買い推奨(7月6日終値929円)。翌7日に66円高(995円)で5月高値を更新し、10日には、昨年10月以来となる1009円を付けてきた。全般相場に続落が続いた中での見事な逆行高ぶりだ。
市場の新興株、小型株傾斜の流れが追い風になったとはいえ、ミクシィ(2121・東マ)も、モルガン・スタンレー、UBS両証券の買い推奨を受け、8日にストップ高寸前(9万9000円高の68万7000円)の急騰劇を示したのは周知の通りだ。
「意外性」という意味で、最も大きなインパクトを与えたのは、ゴールドマン・サックス証券による、アイフル(8515)買い推奨だろう。過払い返還請求問題を抱えて「売り安心感」の高い消費者金融株に対する買い推奨は久々のこと。例えば、日興シティグループ証券の目標株価は「200円」だったが、ゴールドマンは、自身で掲げていた「270円」から一気に「580円」へと引き上げ(6月29日終値310円)、目先筋を色めき立たせた。発表直後の6月30日には一時75円高(24・2%高)の385円と、ストップ高に迫る場面も。
逆に、同じゴールドマンの売り推奨が相場を崩す格好となったのが、GSユアサ(6674)。「GSがGSを売り」と話題を呼んだものだ。短期急騰後の調整局面にあった900円台半ばのGSユアサに対して「700円目標で新規売り推奨」とし、直後のストップ安を誘った。GSユアサは現在、700円台。
この株は、初動段階からクレディ・スイス証券が「330円目標」、野村証券も「370円目標」を掲げるなど、もともとアナリスト筋の評価が低く、絶妙のタイミングで格下げしたゴールドマンのみを“戦犯”扱いするのは少々気の毒ながら、最近の、アナリスト評価の影響力の高まりを象徴する事例とは言えるだろう。また、ゴールドマン・サックス証券が6月30日付レポートで大和証券(8601)を「売り」推奨したこともマーケットで話題を呼んだ。同じ証券会社への売り推奨自体には問題はないものの、その時期は大和証券が26日(終値668円)に公募増資を発表した直後で、いわばファイナンス銘柄。「ファイナンス中は手出し無用」の“慣習”を無視した形になった。今後も、特に比較的小ぶりな銘柄については、外資系証券の投資判断から目が離せない展開が続きそうだ。(A)
引用:NSJ日本証券新聞
http://www.nsjournal.jp/column/detail.php?id=167106&dt=2009-07-13