身近な場所で起こった事件について、書こうか書くまいかと随分迷った一週間。これほどまでに心を乱されながらも、それには触れず何ごとも無かったかのように楽しい話題を綴る気にはなれない自分が今朝もいた。少し時間を置いたからこそ見えてくるものもある。自分の気持ちを整理し前に進む為にも、ここに悲しい事件を記録しておこうと思う。

 

その事件を知ったのは髪を切りに美容院に行った翌日のことだった。夫がやや躊躇しながらも私に伝えてくれたのだ。

 

近くの屋外モールで大変な事件があったみたいだよ。

 

私たちの家にはテレビが無いし、ニュースは定期購読している日、英、米の新聞のオンライン版から得ているから、こういったローカルなニュースは逆に抜け落ちる傾向にある。夫は私たちが住むコミュニティー専用の「売ります、買います」「こんなことが発生してます」等のオンライン掲示板でたまたま事件のことを目にしたらしい。

 

が、いつものように夫の話では詳しく分からない笑い泣き

ローカルメディアでの第一報の内容を訳すとこうであった。

 

事件は午後3時半ごろ、容疑者たちがバーンズ・アンド・ノーブル書店の外でニュージーランド出身の68歳女性とその夫を金品目当てに襲ったことから始まった。容疑者はその後、白い車に飛び乗り、女性を轢き殺害した

 

 

 

 

続報によると、襲われた夫妻はニュージーランドからの観光客でモールで歩いていたところ、まず犯人2人が近づきご主人の頭に銃を突きつけ時計を盗もうとしたが上手くいかず、標的を奥さんのショッピングバッグに変更したところ、揉み合って道まで出て来たところに仲間が運転する車で女性を轢き、20メートルも引きずってから逃走したとのことだ。

 

犯人は28歳と18歳の2人の合計3人。わざわざロサンゼルス界隈から車に乗って安全な土地柄にある高級モールに盗みにやって来た黒人の犯罪集団である。人の命を何だと思っているのか、その悪質な犯罪に地元民は動揺を隠せない。何と言っても本来ここはとても安全で平和なところなのだから。

 

このモールは以前住んでいたところからも近く、当時はイタリア製の素敵なメリーゴーランドもあって(しかも安価!)子供を連れて頻繁に出かけていたし、最近でも私の脚のリハビリにと散歩するのにちょうど良い環境ということでのんびりと歩いていた。さらに犯罪現場の4軒先にあるスーパーマーケットには週に数度は買い出しに行く。犯人は行きずりの観光客の命を奪ったと共に、ここでの安全神話も破壊した。

 

今は冬のニュージーランドだから、事件に巻き込まれた夫妻は海沿いで夏でも涼風の吹く快適なリゾートとしてここでの滞在をきっと楽しまれていたことだろう。それが、突然夫の眼前で妻が轢き殺された。アメリカからの楽しいお土産話を待っていたであろうニュージーランドのご家族の気持ちも考えるだけで胸が苦しくなる。

 

犯人はロサンゼルスに向けて逃走したのだが、警察の追跡によりその日のうちに確保、逮捕された。後になって気づいたのだが、私たちはハイウェーで追跡に出動したパトカー3台をたまたま目撃していたのだった!

 

その日、脚が悪くて隣町まで運転できない私は夫に美容院まで車で迎えに来てもらっていた。美容院を出たのが3時40分。事件発生直後である。家に向けてハイウェーに乗ると、LA方面行きの反対車線はとても混んでいた。「え?もう通勤ラッシュ!?」と、思いながら対向車線を眺めていると、ほとんど動かない車列の後ろからけたたましくサイレンを鳴らしたパトカー2台が北上して来た。その後ろからさらにパトカーが続く。夫と二人で「何かあったのかな?」と話していたのだが、警察は正にその時間にそこを通って犯人を追っていた。もしかしたら犯人の車も反対車線ですれ違っていたのかもしれない。

 

今回の事件では銃による発砲もあったがそれによる犠牲者はなし。アメリカは銃による犯罪がとてつもなく多い。昨年の銃による死者数は42,996人である。(→2023 Gun Violence Statistics) 外目には誰がいつどこで銃を持っているのかも分からず、そもそも銃が合法に所持できるということ自体が恐ろしい。これまで無差別の銃乱射事件も数多く起こっていて、本来子供たちが守られるべきである学校での事件も何度も繰り返されている。最近では乱射事件を想定して子供たちが教室内にバリケードを作る訓練をしているところもあるという。国が銃規制してくれないのなら自分たちでできることを少しでもして犠牲者を減らそうという取り組みだ。

 

日本でも通り魔的事件はたまに起こっているし、秋葉原事件やサリン事件などの大規模な無差別犯罪もある。この世には予測したり避けられないことがあって、自分には降りかかっていないだけのことである。平均寿命まであと○○年ぐらいはあるのかな?とおぼろげに考えていた私であったが、身近に起こった事件によって命があることは当たり前ではないと実感した。

 

怖れに支配されて日々を過ごすのではなく、今ある瞬間瞬間を大事にしなければ。

 

ただ、、何かに遭遇した時に今の私の脚では一目散に逃げることができないのがつらいところ。もっとよく歩けるようにとの願いで歩いていたところで事件があったチーン

 

これまでもこちらの屋外モールでは随所に座り心地の良いソファーセットが置いてあったが、私たちがボストンで過ごしている間にオリーブの木が植えられ、こんな新しい憩いのエリアも作られていたのになぁ。。

 

 

 

 

 

 

 

今回の事件で確信したこと。それは、万が一襲われたら持ち物、財布、ハンドバッグを惜しみなく手渡すこと!「あ~そこには免許証やグリーンカードが~」などと考えてはいけない。命のみが再発行できないのだ。危機に瀕しても防御反応には従わず、抵抗しない方が良いということを心に留めおきたい。あとは、目立ってきれいな身なりというのも控えたい。これに関しては私は今まで通りの普通の恰好をしていればよい(笑)

  

 

にほんブログ村 海外生活ブログ アメリカ情報へ
アップ

被害者夫妻はニュージーランド首相の親しい友人でもあったそうで弔意の言葉が発表されていました。最初に狙われた腕時計が上手く外れていたら物品強盗だけで済んだのかもと思うと、とても切なくなります。