今回日本に戻ってくるに際し、頭を悩ませていたことがありました。それは今年のお節をどうすればよいかということ。年末の日本行きを決めた当初、私は母と一緒にキッチンに立ってお節の準備をするという楽しい場面を想像していました。そもそも私がアメリカでも何とかお節料理を作るようになった原点は料理上手な母のお節です。
子供の頃から親しんでいた味を頼りにカリフォルニアで以前作ったお節はこちら。
一日お台所に立っていても夜は全く別の「年越し蕎麦」も作らないといけないなんて、主婦には何とも過酷な大晦日でした
お節作りは母との楽しみのイベントでしたが事態は一変。転倒からの入院、手術で母は年末年始に一時帰宅できるかどうかも定かではなくなり…。私が実家に到着してから食材を調達して一人でお節を作るのは時間的にも身体的にも無理があると感じ、ならば今年はいっその事、料亭からお節を取り寄せようかとも思ったけれど、母が家に帰れないかもしれないのに自分達だけ立派なお節を食べる気にもならず。。
日本に到着してから母はお正月には帰れないことが判明。面会はおろか、差し入れも年末年始は不可! 仕方なく大晦日には年越しそばを作り、元旦はお雑煮ぐらいで誤魔化すことにしました。
しかし、スーパーで出来合いの黒豆が売られているのを目にして「そうか、一から作らなくても黒豆は買えばいいんだ!」と気づく。カリフォルニアでは豆を前日から水に浸し、艶出しの為に鉄釘まで入れて、火にかけてからは頻繁にアクを取り除くという手間をかけていたのです。
それに比べると大根と人参の紅白なます、だし巻き卵、レンコンの酢の物、ごまめなどは短時間に作れます。お重に詰めるだけの量になるのか分かりませんでしたが、取り敢えず兄はお重の在処を知っていた(笑)
漆器に蒔絵が施された時代物のお重を見たらやはりこれを使いたくなった!
見ているだけでお正月気分がグンと上がります🎍
三段のお重ですが、せめて二つは使いたい。
そこで思いついたのが、兄が仕事の合間に作ってくれた煮物の残り物をお煮しめにアレンジして一つのお重に詰めること。レタスを敷いて、レンコンも欲しかったので、出来上がった酢レンコンを洗って出汁につけて投下する
そんな急ごしらえの今年の「お節もどき」です。
中央にある赤い実は千両。これを添えると俄然お正月っぽくなりますね。母もお節にはいつも入れていました。お重の飾りにとお庭を散策していてまず最初に見つけたのもこの千両。
【千両】
グリーンと赤のコントラストが美しい!
次に目にしたのは階段下近くにあった万両です。千両の葉は周囲がギザギザですが、万両の葉は緩く波打つような形です。
実のつき方も違うので区別しやすいですね。千両は、西洋でクリスマスシンボルのHolly(柊)にも似ており、実が葉の中央にまとまっているのに対し、万両の実は葉の下で空中遊泳しています(笑)
【万両】
やや!塀の下の石垣付近にも赤い実が!
地面に生い茂ってるのはフキでしょうか、ってそれは今関係ない
足場が悪くて近づけないのでカメラのズームで寄ってみました。
あ〜!これは南天ですね。カリフォルニアの苗屋さんでも見つけて裏庭に植えています。
南天もお節やお正月飾り、お赤飯にも使われますが、ナンテンという名から「難を転ずる」を連想させることでおめでたいのだそうです。
わが家の野生のようにたくさん生い茂っているこの南天=「難転」をご覧になった皆さまにも縁起の良い植物からのご利益がたくさんありますように〜
以前記事にしました古代ギリシャの植物、ラスカスには抗バクテリア作用があって「肉屋のほうき」と言われていましたが(→★) 南天の葉にも防腐作用があり、お節に添えるのには色味以上の効果が期待できそうです。ナンテン(難点)だらけの私もこちらの南天の防腐作用にあやかって、焦らず腐らず機嫌よく過ごす一年としたいです
夫が一昨日アメリカに戻るまでは毎日観光に駆り出され、母の面会もあって(☜辺鄙で遠い)ブログは遅れに遅れて今、元旦
書きたいネタは山積みですので次回もどうぞお楽しみに〜!