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言葉の重さ

NHKのBSでカルロス・クライバー特集があった。

日本に来日した時の全盛期のクライバーの貴重なライブ映像は、
まさに伝説のライブだった。
クライバーは、神と音楽をつなげる仲介者だったと語る共演者のインタビューが印象的だった。


音楽業界の衰退が言われて久しい。

私は買う側の意識の変化というよりは、売り手の側に大きな問題があったと思う。
ここ何年間で「伝説のライブ」「幻のライブ」と言った言葉を何度耳にしただろう。
正直、何が伝説なのか全くわからない物が多い。
共通するのは、野外ライブで雨が降ったら伝説のライブになるらしい。

その無責任に軽く使われてしまった言葉達が結果、音楽それ自体の無価も軽くしてしまったのだ。


ここ最近、ずっとテレビで流されるACのCM。
震災以来、TVを少しは見るようになったのだが、
有名人にメッセージボードを持たせ、言わせるという、
簡単でてっとり早い方法を採用したこのCMのメッセージが全く伝わってこないのは、
手法はもちろんだが、あまりにも言葉を軽く扱いすぎたマスメディアや広告の
そして、コピーライターと呼ばれる人たちのせいだろう。

それに乗せられてきた有名人がいくら言葉を発しても、矛盾しか見えてこないのだから。



松井秀喜さんが震災後のインタビューで、

自分はこんなに遠い所にいて、痛みも分からないのに、
頑張ってください、前を向いてくださいとは軽々しく言えません。

と語った。どちらの言葉が本当に響くだろう。そして言葉の重さを感じるだろう。