⑤　不登校の子どもは、黙って見守っていれば、いつかは自分で動き出す？　貴女はどう思いますか？

(一部添削、再掲)

おはようございます。

（④の続きです）

不登校の子どもは、黙って見守っていれば、

いつかは自分で動き出す？

前回④では太郎君の小話を書きましたが、

今回はちょっと対照的な花子ちゃんの小話です。

まず読んでみてくださいね。

＜小話２　花子ちゃんの話＞

花子ちゃんは、学校の校庭でいつものように

友だちと遊んでいたところ、足の裏に鋭い痛みを感じた。

気のせいだろうと思って、放っておこうとしたが、

なんか痛みがひどすぎる…

仕方ないので運動靴を脱いでみると、

何か足の裏に刺さったような小さな穴がある。

血はあまり出ていないが、

ズキズキと痛み、歩くのも苦痛だ。

保健室で診てもらいたかったが、

夕方遅かったので、そのまま家に帰ることにした。

帰宅したらお母さんに言おうと思っていたが、

なにやら幼い弟の世話や夕食の準備で忙しそうだ。

お母さんに報告しようと思っていたが、こんな時に声をかけると、

いつもイライラした尖った声がもどってくるので、躊躇した。

「まあ、いいか…　痛みも少し和らいでいるから、今夜は消毒して、明日言えばいいよね…」

お風呂から上がり、消毒液を塗ろうとしたら、

チクッと鋭い痛みがはしった。

「イタッ！トゲかなあ…。イヤだなあ…」

と思いつつも、昼の疲れで、バンドエイドだけ貼って、

そのまま寝入ってしまった。

翌日の朝、お母さんに言おうと思っていたけど、

夕べは足がうずいて、体も熱っぽくてよく眠れず、

遅い時間に起きてしまった。

早朝から夫の出張準備に追われ、幼い子どもがぐずっていたために、

朝からイライラしていたお母さん。

なかなか階下に降りてこない花子を起こすため、

お母さんは二階に上がり、まだベッドに寝ている花子ちゃんを

無理矢理に起こそうとした。

花子ちゃんはやっとの思いで起きだし、急いで洗面と着替えを済ませ、

時間がないので、朝食もそこそこに家を出た。

その様子を苛立ってみていたお母さんは、

花子ちゃんがちょっと片足を引いているのに気づいて少し気になってはいた。

だが、苛立ちが勝り、

「ボサッとしていると遅刻するよ。さっさと学校に行きなさい！」

と花子ちゃんを怒鳴って玄関から追い出すようにして学校に行かせた。

体は熱っぽくてフラフラしていたが、

授業中は足の痛みはさほどでもなかったので、保健室にも行かず、

三者面談のシーズンで午後は早く帰ることができた。

体が熱っぽくて怠くてたまらなかった花子ちゃんはまっすぐ帰宅した。

お母さんが買いものに行って誰も居なかったので、

熱っぽい体を抱えたまま、そのままベッドに入って寝入ってしまった。

翌日は土曜日で学校に行く必要はなかったので、

昨夜も足がうずき、体中が熱っぽかったため、

花子ちゃんは良く眠れず、お昼過ぎまで寝ていた。

いつもなら土曜日の朝は元気に朝食に

降りてくる花子ちゃんが降りてこなかった。

お母さんはあれっと思ったが、昨日の朝は怒鳴って学校に行かせたので

機嫌がわるいのだろう、と軽く考えた。

朝食を食べさせるために呼びに行くのも

しゃくに触るので、そのまま放っておいた。

だが、夕方になっても下に降りてこない花子ちゃんのことが

さすがに気になり、二階に上がってみると、

花子ちゃんはまだベッドで布団を被って寝ている様子。

「どうしたの？」と声をかけたら、

「まだ眠いから、もう少しねる」と花子ちゃんが応えたので、

そのままにしておいた。

声に力がないことに気づいたが、

気のせいだろうと思って、そのままにしておいた。

昨日の朝、片足を引きずっていたことも忘れていたお母さんは、

気にもとめないで、そのまま黙って部屋を出た。

だが、日曜日の朝も階下に降りてこない花子ちゃんに、

さすがにお母さんは「おかしい…」と気づいた。

二階に上がり、花子ちゃんの部屋に行くと、まだ布団の中にいる。

「どうしたの？具合が悪いの？」と声をかけたが、返事がない。

さすがにこれはおかしいと思ったお母さんは、

布団をあげて花子ちゃんの顔をみると、真っ赤になっていて、

汗が額や首筋に浮かんでいる…

驚いて額に手を当てると、熱い！一見して高熱だとわかった。

体温計ではかると、なんと38.5℃もある。風邪だろうか？

「花子、どうしたの？具合が悪いの？頭が痛いの？」と揺り動かしても、

花子ちゃんは「う…ん…」とまともな返事さえできない。

ハアハアと、息をするのさえ苦しそうだ。まずい！　

そう思ったお母さんは、急いで救急車を呼び、

病院に花子ちゃんを運んだ。

医師は診察を開始してすぐに、風邪ではなく、

ばい菌が入って体に回ったために熱が出たのだろうと考えた。

やっと少し口を動かせるようになっていた花子ちゃんから

事情を聞いた医師は、足を診て、驚愕した。

傷口が真っ赤に化膿しているばかりではなく、

ヒザから下全体が腫れていた。

異物が傷口の奥に残っていることも推測され、

急いで外科手術が行われた。

異物は錆びた小さな鉄片だとわかり、

日にちが経ってため奥の方に入っていることもわかった。

珍しい怪我ではあるが、そのままあと数日放置しておけば、

大事に至るところだった、と医師は厳しい顔でお母さんに告げた…

・・・・・・・・・

前回の太郎君の小話と、

今回の花子ちゃんの小話。

ちょっとまわりを見渡してみれば、

どこにでもあり得る出来事ですよね。

太郎君の方は、

お母さんが日頃から子どもの様子を

きちんと観察していたため、

大事に至らずにすみ、怪我も早く治りました。

一方、

花子ちゃんの方は、

お母さんが夫の仕事や幼い子どもの世話のために、

いつも心に余裕がなかっため、

またお母さんと花子ちゃんの間は

少々ギクシャクしていましたので、

一歩間違えば、大事に至るところでした。

お母さん、あなたは

太郎君のお母さんのような母親でありたいですか？

それとも、

花子ちゃんのような母親でありたいでしょうか？

（⑥に続きます）

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