資本主義の終焉と歴史の危機 (集英社新書)/集英社

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本書の本論は表題の通り。今回は、水野和夫氏が本書にて財政出動が賃金を削る理由を説明している部分について見ます。
生産側から見たGDP=産出額+中間投入
分配側から見たGDP=固定資本損耗+雇用者報酬+企業利益+税
である。生産側から見たGDP=分配側から見たGDPであり、国内の生産活動により生み出された付加価値は、分配側から見たGDPの各項目に分配される。生産側から見たGDPというパイが分配側の各項目に分けられる。分配側の各項目のどれかが大きくなると、他は通常、小さくなる。
財政出動による過剰設備の増加は、設備の維持費=固定資本損耗を増大させ、雇用者報酬の減少をもたらす。
水野氏は、日本政府の総需要対策による2002年から2008年の景気拡大期の名目GDP内訳の数値を用いて、上記理論を実証している。
で、僕の考察。
ここ数年、失業率は下がり続けているものの、GDPは増えず、実質賃金が増えていない。これは、アベノミクスが金融緩和と公共事業だのみであった為、経済が成長せず、公共事業の固定資本損耗を増大し、雇用者報酬に廻るお金が減った為である。
今後、景気対策のため財政出動したとして、国土強靭化の様な維持費が大きくなり長期的経済成長に寄与しないやり方は、上記理論と同じ結果となる。全体のパイが大きくならず、設備の維持費=固定資本損耗が増大し、雇用者報酬の減少をもたらす。
安倍政権は「新三本の矢」「一億総活躍社会」政策の一環として、待機児童ゼロ、介護離職ゼロを目指すとしている。待機児童ゼロ実現のため保育所を作り、介護離職ゼロ実現のため老人ホームを作る。これは財政出動であり、施設の維持費=固定資本損耗が増大する。同時に子育てや介護世代で就業できなかった人々を支援し、長期的に経済成長に寄与、雇用者報酬が増えると考える。