私には弟が一人いるが、もう10年以上実家たる我が家の敷居をまたいでいない。


とにかく弟はずーっとウチにはきてない。


ところが…


「◯◯にカシミアのコート盗られた!背広も盗られた!」


と、急に父が騒ぎ出した。


◯◯は弟をさす。


「◯◯はもう10年以上ウチに帰って来てないけど」

と、私が言っても聞かないで騒ぎ続ける。


「お前たちがいない間に忍びこんでるんじゃないのか!」

と、言い張る父。


「ウチには誰かかれかがいるよ!」と私。


ああ、面倒くさい。


2階の父の寝室に父の衣類があるから、無いという衣類を探しにいく。

父の寝室はめっちゃくさいから入りたくないのだが。


父の言うには12万のカシミアのコート、赤いレザーのコート、もえぎ色のスーツが無いらしい。


で、母も加わって探す。だがこの場合、母は戦力外だ。


父の衣類なんぞ知らないが、クローゼットを開けて探す。それらしい赤のレザーともえぎのスーツと黒いコートもって居間にいく。


殿様然とした父が居間でおかんむり。


に、これか?てみせる。


するとそうだと言う。が、カシミアのコートが違うと言う。


ああ、また、階段登るの脚腰がつらい…。


これかな?と厚手の品物が良さそうなコートを見つけてまた階下にいく。


膝…イテ…。


「これだ」と父。


「あるんじゃないの。◯◯は盗ってないよ」


「………」


都合が悪くなると黙るのだ、父は。


マジでろくでもない親だ。

私は疲れたよ。脚も痛いし。



それはそうとて、


父、やばくね?


物盗られ妄想じゃね?


なんで普段、忘れているような弟を思い出したと思ったら、コートを盗ったとか騒ぎ出して。


あー!タチの悪いボケ方しそう。



めっちゃ心臓が痛むよ。

私は心臓も悪いんだよ。


ワンオペで、両親ともにボケてるなんてキツいよ。