隣の部屋からドドッという音がして、
階段を駆け降りて浴室に入る音が聞こえてきた。
夜の10:00過ぎ。
父だ。
またやったな、
私はあたまを抱える。
父が粗相をした。
…ウンコを漏らしたのだ。
時々、父はやらかす。
私は2階の自室でベッドの中だけど、浴室の音は筒抜け。
安普請な家だ。
行かない方がいい。
父は私に弱味を見せるのを、極端に嫌がる。
何やってんの!(怒
とでも言えば、めちゃくちゃに逆ギレするのはわかっている。
しばらくして、母の声が聞こえてきた。
母も厄介だ。
母は以前、やはり父が粗相をした時、その汚れた衣類を洗濯機に入れて洗ってしまった。
洗濯機が臭くなって、洗濯機を新しく買い替えたかったが、
先立つモノがなく、洗濯機の大掃除をしなければならない羽目になった。
程よい頃加減をみて、私は浴室に杖をついてヨタヨタと向かった。
自室のドアを開けたら、もう異臭が酷かった。
だいたい汚物の処理は済んだ後みたいだった。
だが異臭に耐えられず、トイレから消臭スプレー缶を持って来て、浴室や階段、玄関ホールに撒いた。
ほぼ家中だ。
「どうしたの」
なるべく普通の口調で問う。
「お前に関係ない!!!(怒」
「まぁ、想像はつくけどね」
怒って、2階に上がる父を尻目に母に問う。
「で、汚れた衣類は捨てたの」
よくわからないと言ったような表情の母。
「洗濯機に入ってないよね」
2人で洗濯機をチェックする。
「ああ、もう遅いから明日片付けようと思って」
と、浴室の角を指刺す母の視線の先に、
汚れた衣類があった。
パジャマの下とトランクス。
パジャマは一カ月前に新調したばかりのやつ。
まだ支払いも終わってない。
でも、汚れがひどくてどうしょうもないから捨てるしかない。
トイレ掃除用の手袋を持ってきてビニール袋に入れる。明日はゴミの日だから、明日出そう。
「お父さんにはビックリさせられるわ」と母。
「何か、悪いもの食べさせたかな?」
下剤飲んだみたい、と母。
「責めたらダメなんだからね。責めたら、余計に悪くなる。ボケは怖いね」と母が神妙な顔をする。
いやいや、母。
父はまだ認知症では無い。
まるで父を認知症のように言うが、認知症はあんただって。
だけど、父も認知症になったらどうしよう。
でなくても、親が寝たきりとかになったら?
私は親の下の世話を出来るだろうか?