岡山県内でシカによるスギやヒノキの幼木の食害が後を絶ちません。

 

県内の人工林(国有林を除く)は大半が伐採に適した樹齢50年を超

 

え、25年以下の若樹林は5%といびつな樹齢構成です。伐採跡への

 

再造林を加速させることが急務ですが、植えたばかりの幼木を好む

 

シカが「天敵」となって思うように進んでいません。事態を重く見

 

た林野庁は8日、県内の林業従事者らを集めた対策検討会を開催。岡

 

山県も2024年度、モデル地区で対策を本格化させています。

(この記事は11月9日の【山陽新聞社会面】からの御紹介記事です。)

 

県内の人工林は森林面積全体の約4割を占めます。樹齢は修祓期に当た

 

る51~55年が2万9551㌶と最も多い半面、1~5年の若齢林はそのわず

 

か2%の523㌶に過ぎない。再造林を急がなければ、いずれ資源が枯渇

 

しかねない状況です。

 

一方、主伐期に当たる人工林は木材の需要と価格の低迷から伐採自体が

 

進まず、限られた伐採跡に苗木を植えても、すぐにシカの食害に合うケ

 

ースが目立つといいます。林野庁によると、シカはやわらかい苗木を好

 

むことから再造林の大きな阻害要因となっており、森林所有者の造林へ

 

の意欲低下も懸念されます。

 

実際、県内の23年度のシカによる森林被害面積は32・20㌶(前年度27・

 

53㌶)。野生鳥獣による森林被害全体の大半を占め、被害エリアも県東部

 

から県北西部に拡大しているという。

 

こうした状況を踏まえ、林野庁近畿中国森林管理局(大阪市)は8日、林業

 

従事者や自治体職員ら約130人を対象とする対策検討会を新見市内で開いた。

 

コストを抑えながら防護柵を設置したり、ドローンで柵を点検したりする手

 

法を説明。新たに開発された保護法として、獣道以外に仕掛けられるわなも

 

紹介した。

 

美作市内で林業を営む長畑敏さん(美作市梶並)は「今回学んだ方法であれ

 

ば個人でも導入できます。植樹の際の選択肢として検討したい」と話した。

 

県も対策に本腰を入れており、津山市、真庭市、鏡野町、奈義町の計4市町

 

をシカ被害防止のモデル地区に指定。今年7月には現地の森林組合や猟友会

 

などで構成する協議会をそれぞれ設置し、効果的なシカ捕獲や幼木の防護強

 

化への検討を重ねています。

 

岡山県治山課は「再造林を進める上で鳥獣による被害は大きな課題」としています。