京都市のホテルに宿泊するインバウンド(訪日客)の割合が過去最
高水準で推移しています。4月は7割を超えました。物価高の影響で
客室料金は値上がりしているものの、円安を受けて訪日客の予約は
好調で、当面はこの傾向が続く見通しで、ホテルは訪日客の取り込
みに力を入れています。
(この記事は7月14日の【山陽新聞経済面】からの紹介記事です)
6月下旬、JR京都駅近くの高級ホテル。バイキング形式の朝食会場
はほぼ満席で、英語や中国語など多様な言語が飛び交っていました。
8割以上は訪日客とみられ、家族や仲間とゆったりとした時間を過
ごし、和食に舌鼓を打つ客もいました。
京都市観光協会が市内のホテルのうち110軒を対象にした調査による
と、4月の延べ宿泊数に占める訪日客比率は70.1%.対象ホテル数は
異なるものの、2014年の統計開始以降、最も高い比率となった。5月
は62・9%で4月に次ぐ高水準だった。国別で見ると4・5月は米国が
最多で、2位中国と続く。
物価高を受け、ホテルの料金も上昇している。5月の平均客室単価は1
泊2万342円で前年同月比で14・5%増。新型コロナウイルス禍前の19
年5月と比べると17・5%も高くなった。
それでも外国為替市場で円が各国通貨に対し軒並み下落したことで、訪
日客にとっては割安感がある。京都市観光協会の堀江卓矢マーケティン
グ統括官は「単価の高いホテルほど訪日客の宿泊比率が高い傾向にある」
と分析。国際航空路線の増便も見込まれることから、今後も安定した宿泊
需要が期待できると説明する。
市中心部にあるホテル日航プリンセス京都では、昨年3月ごろから訪日客が
増え始めた。光熱費や人件費の上昇に伴い、客室料金をコロナ禍前よりも15
%ほど引き上げたが、4月の訪日客の宿泊比率はこれまでで最高となる6割に
達した。
旺盛な需要に応えるため、7月からホームページを多言語対応にした。レスト
ランでは訪日客向けメニューの開発に余念がない。同ホテルマーケティング
課の喜多見ゆりマネージャーは「国内の顧客も大事にしながら、海外からも
一層の集客を図りたい。同時に語学力の強化などスタッフのスキル向上も目
指したい」と話しています。