作業服製造のコーコス信岡(福山市新市町戸手)は、本社工場を建
て替えます。約10億円を投じ、生産能力を1・5倍に引き上げる計
画です。一部工程の外注先が人手不足で製造に時間がかかっている
ため、一貫生産体制を構築して内製化を進め、円滑な納品につなげ
ます。自社職人の育成にも力を入れます。2025年7月の稼働を目指
します。
(この記事は6月5日の【山陽新聞・地方経済面】の紹介記事です)
工場は敷地約2500平方㍍、鉄骨平屋と同一部2階の2棟計1342平方
㍍で、本社ビルから道路を挟んで北西にあります。手狭で老朽化も
進んだため、製造ラインを近くの賃貸物件などに一時的に移し、5月
1日に解体工事を始めました。
新工場は鉄骨3階述べ3050㎡を新築。1,2階に生地の裁断、縫製、
ボタン付けに加え、現状は全量を外注している仕上げプレスのライ
ンも設け、プレス用のアイロンとボイラー一式を新たに導入します。
ミシンも30台から50台へと段階的に増強。ロゴなどをプリントした
り刺繍したりする機械の導入も検討しています。3階には製品ショー
ルームを本社ビルなどから移します。
ラインは最大50人が作業でき、職人を現行の16人から新規採用など
で順次増やしていきます。
本社工場は1990年代以降進めていた生産の海外シフトに伴い量産を
いったん中止。サンプル製造拠点として活用していたが、国内に残っ
ていた長崎県の2工場を2016年までに閉鎖したのに伴い、昨年に主力
のベトナム工場から職人の一部を移して量産を再開しました。
ただ、ベトナム工場が一貫生産できるのに対し、本社工場は人手やス
ペースの事情で、プレスのすべてに加え、縫製とボタン付けも一定程
度を近隣業者へ外注。工程のメインとなる縫製では年間出荷量2万着
のうち、6割(1万2千着)を協力業者に依存しています。新工場では
依存度を4割(8千着)まで落とし、現在は大半が外注のサンプル製
造も内製化を目指す。
外注先でも人手不足や高齢化が進んでおり、繁忙期には生産が滞り
がち。このため全行程の設備が整う新工場で担い手を育て、短納期
につなげながら、将来外注できなくなるリスクにも備えます。
信岡修一本社工場長は「職人が働きやすく、地域の人々が見学でき
る工場を整え、担い手確保につなげる。作業服への絵柄の絵柄のプ
リントなど新しい自社サービスにも挑戦したい」と話しています。