岡山市中心部の旭川中州にあり、かって歓楽街として栄えた西中島
(岡山市中区西中島町)に、舞台芸術の振興に取り組むNPO法人ア
ートファームが、地域の交流と文化の発信拠点を整備しています。
今秋オープンの予定で、1877(明治10)年、この地に開館した木下
サーカスの起源となる芝居小屋「旭座」にちなみ「西中島まちラボ
『旭坐』」と命名。地域と舞台芸術をつなぎ、にぎわいの再生を目
指します。
(この記事は5月28日の【山陽新聞エリア広域面】からのご紹介です)
岡山市中心部から東山へと路面電車が走る京橋を歩く。わずか数分で
西中島の中州へ。格子窓のレトロな家屋が並ぶ一方、空き家や駐車場
も目につきます。「ここがかっての岡山の娯楽の中心地。『旭坐』に
なる場所です」。アートファームの大森誠一理事長が一角にある色あ
せた建物を指さした。
山陽道が通り、水運の拠点でもあった京橋地区と接するこの町は、江
戸時代から旅籠が軒を連ね、明治期には旭座をはじめとする芝居小屋
や遊郭が並んだ。しかし、時代の変遷で昭和30年以降は人口流出が進
み、現在は約50戸の多くが70代以上の世帯だという。
アートファームは2010年、西中島河川敷で野外音楽劇を開いたのを皮
切りに、地元住民と連携して映画、演劇、ダンスの上映・公演などを企
画。舞台芸術文化の発信と地域のにぎわい創出に取り組んできました。
「単発の事業では、効果は一過性になりがち。多彩な催しを通年で行え
る拠点が必要だった」と大森理事長。地区内で教会や会社事務所、飲食
店として使われていた木造一部鉄筋2階の建物を借り、「地域の今と昔
をつなぐのに最もふさわしい」と「旭坐」の名を冠した施設を計画。木
下サーカスの了承も得て、整備に乗り出しました。
1階の部屋を映画や演劇の鑑賞・創作と会合の場とし、2階の5部屋は
西中島出身の映画スター尾上松之助(1875~1926)や、木下サーカス
の歩みを紹介する資料室やギャラリーとして使用する。費用は約800万
円を見込み、一部を6月からクラウドファンディングで募ります。今夏
に着工し、11月の開館を予定しています。(以下省略)