改正道交法が5月17日成立しました。自転車の違反行為に交通反則

 

切符(青切符)を交付する制度が導入されました。近年、健康志向

 

やブームで自転車の利用は広がり、危険な走行やマナー違反が目に

 

つきます。制度導入には、事故防止とともに取り締まりの効率化を

 

図る狙いもあります。警察庁は施行前に摘発基準を作成する予定だ

 

が、取り締まりが恣意的にならないよう具体的に明示する必要があ

 

ります。

(この記事は5月19日の【山陽新聞・社会面】からのご紹介記事です)

 

「今、危なかったですよ。青切符制度が始まると反則金を通告される

 

かも知れません」。14日午前、オフィス街と接する東京の皇居・大手

 

門前の内堀通り。交差点を左折時に歩行者の通行を妨害しかけた自転

 

車の男性を、警戒中の警視庁丸の内署員が呼び止めて指導しました。

 

「自転車事故、本当に増えているので気を付けてください」。

 

通りではビジネスマンらが乗る自転車がスピードを出し、観光客や皇居

 

ランナーの間を走る。運転中にヘッドホンで耳をふさいだり、スマート

 

フォンを手にしたり…。署員は「周囲の音が聞こえず、危ないですよ」

 

などと繰り返し注意しました。

 

内堀通りは、事故発生状況などを基に選んで取り締まりに当たる「自転

 

車指導啓発重点地区・路線」の一つです。重点地区・路線は昨年4月末時

 

点で全国1930か所が指定されており、青切符導入後も取り締まり場所の

 

中心となります。

 

この日、2時間余りの警戒で、信号無視や携帯電話を使用して走る「ながら

 

運転」により計6枚の「指導警告票」が利用者に手渡れました。警告表には

 

安全教育のため違反の種類や交通ルールが記載されており、交付されても罰

 

則などはない。

 

現状は悪質性が高い違反や罪種には、交通切符(赤切符)が交付される。起

 

訴を見据えた捜査が必要で、警察と違反者の双方に負担が大きいとされる。

 

現場の処理時間は40~50分ほどという。

 

一方、青切符の場合は10~20分と見込まれ、効率的な取り締まりが可能に。

 

警察庁の担当者は「短縮できた時間で、違反者により丁寧な安全指導ができ

 

る」と話します。

 

制度導入を取りまとめた有識者検討会の最終報告書では、青切符での取り締

 

まりについて「基本的な考え方を整理して提示するべきだ」と、警察庁に摘

 

発基準の明示を求めた。利用者に恣意的(しいてき)な摘発と思われたり、

 

自転車利用の推進を阻害したりしないためだ。

 

警察庁は警告しても違反や危険な走行をやめないなど悪質な場合に交付する方

 

針だ。ただ歩行者らに具体的な危険を生じさせた場合は、警告なしに取り締ま

 

る可能性もある。

 

「目的は取り締まりではなく、自転車事故のない安全な交通環境の実現」(担

 

当者)。今後は透明性の高い取り締まりに加え、自転車の交通ルール周知や運

 

転環境の整備も並行して進める方針です。