岡山県玉野市の宇野港で外国の大型クルーズ船の寄港に回復の兆し
が見え始めました。新型コロナウイルス禍で一時中断していた受け
入れを2023年に再開。官民挙げての誘致活動も奏功し、24年は秋
までに計12回の寄港が既に決まった。華やかな船体の見物客に加え、
インバウンド(訪日客)による経済効果も期待されるだけに、市など
でつくる「宇野港航路誘致推進協議会」は歓迎イベントを計画すると
ともに、市民に「おもてなし」を呼び掛けています。
(この記事は5月1日の【山陽新聞社会面】からのご紹介記事です)
4月28日朝、フランス船籍「ル・ソレアル」(全長142㍍)がゆっく
りと接岸した。タラップを降りてきたのは欧米を中心とした乗客およ
そ220人。突堤では市民グループが市無形文化財の「波知の獅子舞」
で歓迎し、折り紙体験会も開いて玉野や日本の魅力をアピール。
到着後の一行は早速、倉敷市美観地区や香川・直島を訪ねた。玉野市
内を自転車で観光したウィリアム・グレイさん(米国)は「日本には
何度も来ているが、玉野は初めて。暖かいもてなしや穏やかな街並み
を満喫し、幸せな時間が過ごせた」と話していました。
宇野港では3月を皮切りに、4月下旬~6月上旬にはル・ソレアルとポ
ルトガル船籍「ヘリテージ・アドベンチャラー」(全長122㍍)が計
9回寄港予定。その後も別の船が2回立ち寄ることが決定している。
推進協議会は市のホームページやSNS(交流サイト)で寄港日時を告知
し、日本文化を象徴するこいのぼりの設置など歓迎行事を随時行う計
画です。
宇野港は港を中心に人の流れをつくる「人流港」を掲げてクルーズ船の
誘致を進めている。国土交通省中国地方整備局によると、コロナ禍前に
年15~18回で推移していた外国のクルーズ船の寄港は20~22年にゼロ
となったが、受け入れ再開後の23年は10回に増え、管内では広島港(58
回)、境港(25回)に次ぎ3番目に多かった。
5月18・19日にあたる「たまの・港フェスティバル」では海上自衛隊の
潜水艦救難艦もこうかいされる。玉野市商工観光課はこうした好機を捉
えて港の魅力をアピールするとともに、外国船の誘致にひき続気力を入
れます。「豪華な外国客船がみられるのは、岡山県内では宇野港だけ。
この機会に港を訪れ、迫力を楽しんで」と呼び掛けています。