菓子製造販売の大手饅頭伊部屋(岡山市北区京橋町)と宮下酒造
(岡山市中区西川原)は銘菓・大手まんぢゅうを使ったクラフトビ
ールの開発に乗り出しました。品質に問題はないものの廃棄に回し
ていた商品を副原料として活用し、食品ロスの削減につなげます。
費用の一部はクラウドファンディング(CF)で募ります。
(この記事は1月15日の【山陽新聞・エリア広域面】の紹介です)
大手饅頭伊部屋は、大手まんぢゅうを製造日に売り切るのを基本と
している。そのため悪天候などで販売数量が想定を下回ると、店頭
に並ぶことなく廃棄する商品が出るという。
饅頭の規格外品をビール原料として使用した他県の事例に大手饅頭
常務の大岸聡武さんが着想を得て、昨年6月に宮下酒造に協力を依頼。
両社とも全国名水百選に選ばれた「雄町の冷泉」と同じ水脈の地下水
を使っており、「味にまとまりが出るはず」と意見が合致した。
開発するクラフトビールは、同酒造の自社ブランド「独歩」の黒ビー
ル「シュバルツ」をベースに、すっきりしたコクと甘みのある味わい
を目指します。
饅頭は麦芽に含まれるでんぷんを糖に変える糖化の工程でそのまま投
入し、酵母を加えて発酵させます。同酒造は果汁を添加したり、酒米を
取り入れたりしたクラフトビールは製造していますが、粘性のある固形
物の副原料は初めてです。宮下酒造マーケティング課長の狩山太郎さん
は「麦汁への溶け具合、液体の粘度などを試行錯誤しながら投入量を調
整した」と話します。
1月6日に試験醸造をスタート。月末までCFサイト・レディーフォーで
400万円を目標に支援者を募集し、返礼品として試験醸造で仕込んだク
ラフトビールなどを贈ります。その後支援者らの感想などを参考にブラ
ッシュアップし、2025年春の商品化を目指します。