岡山市中央部の通称「1㌔スクエア」の東南端です。北区表町商店街の千日
前地区で、クレーンやショベルカーが間断なく動き回っています。
2023年夏ごろの開館を目指してつち音が響く新市民会館「岡山芸術創造劇
場」。老朽化した現市民会館(北区丸の内・1963年築)と、市民文化ホール(中
区小橋町・76年築)を市が移転統合する大型プロジェクトです。
(この記事は12月2日の【山陽新聞】からで画像もお借りしています)
事業主体の民間再開発組合が約8850平方㍍の敷地に建設する2棟のビルの
うち、市が低層棟(地上5階地下2階)の大部分を買い取って整備するものです。
プロのコンサートに対応する大劇場(1750席程度)、演劇などに適した中劇場
(800席程度)、市民の文化活動をサポートするスタジオや練習室を備えます。
岡山市の負担は約235億円を見込んでいます。
「こちゃえ、こちゃえ」。開館に向けたプレ事業として11月下旬に表町商店街で披
露された「わが町ミュージカル」は”市民俳優”らの陽気な歌と踊りの街頭劇でアー
ケード街を熱気で包みました。
プレ事業は2017年度にスタートしました。20年度は企画を公募し、ミュージカルの
ほか、演劇・ダンスのワークショップ、子供が対象のアートイベントなど10以上のプ
ログラムを実施する計画です。
施設名の通り、芸術創造機能の強化は新市民会館の大きな特徴です。貸館中心の
現市民会館や市民文化ホールと性格を一新するため、市は本年度中に館長やプロ
デューサーを人選し、長期的な視点で文化的な土壌を育む体制を作ろうとしています。
長年舞台芸術の普及に取り組み、わが町ミュージカルも手掛けたNPO法人アートフ
ァーム(岡山市)の大森誠一理事長は「創造機能を備えた公営ホールは中四国では希
少で挑戦的な試みです。市民をうまく巻き込めれば、岡山の文化は厚みを増す」とみ
ています。
新市民会館は、中心市街地のにぎわい創出の役割も担います。
表町商店街では動きが活発化しており、商店街連盟や天満屋岡山店、市などが18年
に地域活性化のプロジェクト推進協議会を創設しました。近くの旭川を発着するクルー」
ズ船の運航や空き店舗対策に取り組んでいます。
背景には強い危機感があります。1991年,1㌔スクエア東北端でもある表町北部に岡
山シンフォニーホール(約2千席)が開業しました。市の調査では、周辺の歩行者数が一
時は開業前の2倍近くとなったものの、2004年には開業前の水準を割り込み、人通り
は減り続けています。
新市民会館が完成すれば、1㌔スクエアの2角に大型の誘客施設が揃います。表町商
店街連盟の長谷川誠理事長は「シンフォニーホールと連携した大規模コンベンションな
ど可能性はぐっと広がります。にぎわいを点から面に広げるため、あらゆる手を尽くした
い」と力を込めました。