岡山シティミュージアム(岡山市北区駅元町)で、6月9日、企画展「岡山戦
災の記録と写真展」が開催されています。1945年6月29日の岡山空襲か
らもうすぐ75年です。年々体験者が減り、資料の傷みや散逸が進む中で、
戦争の記憶と記録をいかに残すかをテーマに、絵画や写真など約300点
を展示しています。
(この記事は6月9日の【山陽新聞】からで画像もお借りしています)
メイン展示の一つが、岡山市出身の洋画家・中田政夫(1905~80)のス
ケッチ20点(下の画像も含む)です。
46年2月に「焼け跡を記憶に残したい」と市中心部を歩き、焼けた)蓮昌寺
(現北区田町)のほか、岡山駅近くで闇市や進駐軍兵士の様子などを描き
ました。
企画した岡山空襲展示室によると、スケッチは85年に市内の展覧会に出品
され、その存在は知られていたものの、永く所在不明でした。展示室の調査
で今年2月に遺族が保管していたことが分かり、展示が実現したものです。
闇市や進駐軍の様子が分かり、歴史資料としても貴重とされます。猪原千恵
学芸員は「戦災資料は適切に保存・管理されていないことが多く、廃棄や散逸、
劣化の機器に直面している」と」訴えます。
資料を守る大切さを物語るのが、岡山空襲から1か月後の市街地の写真です。
(上の写真2枚ですが、上が左面で下が右になります)山陽新聞社で写真部な
どに所属した坂本一夫さん(1912~98年)が撮影しました。印画紙14枚を横
4.5㍍につなぎ合わせ、今の天満屋岡山店(北区表町)付近からほぼ360度
にわたって惨状を生々しく記録しています。
(空襲から1か月後ということは、まだ戦時中ですから、よく憲兵隊などに没収
されずに残っていたと思ってしまいます。というのは、私の叔父は写真マニア
で、我が家にあったライカを持ち出して逗子の海岸で散策中に、憲兵に見つ
かり、撮影したフィルムは抜き取られたばかりか、カメラも没収されたのでした。
岡山で撮影した坂本さんがマスコミ関係者だったとしても、よくぞ残っていてく
れたと、ちょっと驚きでした。)
実物は印画紙の破れなどが激しく、遺族から昨年末、寄贈をl受けたのを機に、
市が修復に着手しています。
破れ目の裏に和紙を張るなど補修しました。会場には実物とともに作業の様子を
写真パネルで展示しています。
ほかにこの1年間で新たに聞き取り調査した空襲体験者7人の証言録、さびの除
去などを行った焼夷弾なども並べています。
展示室は「空襲の記憶や記録を残す重要性は年々高まっています。未来にどう
引き継いでいくかを考えて欲しい」としています。
企画展の会期は7月5日までで6月15日、22日は休館です。入場は無料。
問い合わせは岡山空襲展示室(☎086-253-7070)までとなっています。