先生たちの説明も終わり、病室に戻りました。
面会終了時刻までまだ時間があったので、
「お母さん、下のカフェでごはん食べてくる!」
と言うと、
「いいよ~!」
と元気に返事をしてくれました。
病院のロビーは病院とは思えないおしゃれな空間になっており、レストランやカフェ、コンビニもありました。
そこのカフェでひと時の休息を取ることにしました。
そして沈みこむように席に着き、フッと周りを見て気が付きました。
所々に私と同じようなお母さんがいたのです。
みんな疲れた顔をして肩をがっくりと落とし、どうにか重たい体を支えるようにして座っていました。
「あぁ…私と同じお母さんがここにはいるんだ」
子供のことを想い、病室では笑顔でいるけど、
ここではみんな素顔でした。
「私だけじゃないんだ」
そう思うとお母さんたちみんなが同志に思えて、ホッとしました。
この名前も知らないお母さんたちの存在は、入院期間中、私の心の支えになりました。
サンドイッチとコーヒーを流し込むように食べて、急いで病室へ戻りました。
病室に戻ると息子が、
「お母さん、そろそろ帰っていいよ。
妹ちゃんも心配してると思うから」
と言いました。
息子は妹を父親の様にかわいがっていました。
こんな時でも自分のことより、
妹のことを心配していました。
「そうだね。もう少ししたら帰るね」
と言いました。
息子はサッカーの合宿や、夫とキャンプなどにも行っていたので、病院で一人で寝ることを全く気にしていませんでした。
息子が歯磨きをして、ベットに横になりました。
面会終了時刻です。
「また明日来るからね」
そう言って病室を出ました。
長い長い一日が終わりました。
血糖値の記録用にと『自己管理ノート』を先生からもらいました。
それとは別に、食べた物や血糖値の変化、息子の様子や自分の気持ちを記録するためのノートを用意しました。
「いつか息子が自立する時に渡そう!」と意気込んで書いていましたが、大変なので挫折し、今は『自己管理ノート』だけに記入しています…