企業分析第2弾は電力業界。
※ 財務データの都合で、東京電力、中部電力、関西電力のデータしか集計できませんでした。

分析の考え方は以前のエントリーを参考にしていただきたい。

今回は企業分析といいますか、東京電力中心に分析しようと思うが、まずは3社のデータを見てみよう。

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(出所)Bloomberg (単位)従業員数:人 その他:百万円


東京電力は、3・11の大震災の影響で大幅な赤字を計上しているので数字がかなり歪んでいる。関西電力・中部電力に関してはまあこんな数字なんだと見てもらえればと思う。

さて、東京電力だが、ご存知の通り東日本大震災の影響で大幅な赤字を計上しているため、付加価値額は他2社に比べて少ない。しかし、この分析では雇用や納税も付加価値と認識しているため、東電の付加価値創出額はプラスとなっている。

ここで前回のエントリーでも少し書いた「企業は誰のものか」という議論をもう一度したい。
企業は稼いだ利益から、従業員に給料を払い、債権者(銀行)に利息を払い、国に税金を払い、株主に配当を払う。つまり企業はみんなのもので誰を重視するかの違いである、と前回のエントリーで書いた。
企業は創出した付加価値を様々な主体に分配している。では東電が付加価値をどういう主体にどのくらい分配しているのか見てみよう。
株主に対しては純利益の中から配当金を出すわけだが、今回は株主という主体は排除し、純利益は、従業員の給料や支払い利息、税金などを払い終わった後の利益だから、社会に対してプラスをもたらした付加価値ということで国民に対する還元と考えたい。
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こうやって見ると、(大幅な赤字を計上しているから当然なのだが)国民に対する付加価値還元率は大きくマイナスになっている。国民(社会)に対する付加価値がマイナスということは、国民(社会)の効用を奪い取って(国民・社会に害を与えて)、従業員・債権者(銀行)・国に付加価値を還元していることを意味する。前期決算でこういった数字が出てくることはいたしかたない部分もあろう。
しかし、今期は電力料の値上げもささやかれていることもあるのだから、今期はもう少し違う数字が出るような決算内容にしてもらいたい。せめて従業員への還元率が減少することを国民は期待しているのではなかろうか。



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