ユーロの下げが止まらない。ユーロドルは三角持合を完全に下方ブレイクして200日移動平均線もあっさり下抜けしてしまった。(7月12日16時時点)

この局面でのユーロ下落のきっかけはFTの記事だったように思う。

「EU stance shifts on Greece default」
European leaders are prepared to accept Athens should default on some of its bonds as part of a new bail-out plan.

あくまでも僕の印象では、先週まではギリシャ債はフランス案(既発のギリシャ国債が償還を迎えたら、30年程度の長い債券に乗り換えるロールオーバー案)でほぼ合意していたように思う。週末金曜日のアメリカの雇用統計は市場予想を大幅に下回る悪い結果で一気にリスクオフが進むかと思ったが、その日は下値では底堅かった。それほどマーケットは世界経済を楽観していると思っていた。

しかし、週を明けてみたらFTがあたかもギリシャがデフォルトするかのような報道をしており、マーケットの楽観論は一気になくなった。
週末には中国がCPIを+6.3%だったとこっそり発表しており、アメリカもダメ、中国もダメ、欧州もダメと強気で見る材料が全て暗礁に乗り上げた格好だ。

僕は以前のエントリーでギリシャのデフォルトは避けられないと書いた。しかし、タイミングは今ではなくて、なるべく先延ばしをさせギリシャ以外のEU加盟国の財政を立て直しが完了してからだデフォルトが起こると…
そのためにフランスが提示したロールオーバー案が用意されほぼ想定通りの展開だったが、FTの記事によって雲行きが一気に怪しくなってしまった。

雲行きが怪しくなったのは、EU当局にとっても同じだっただろう。
EUが最も恐れていることは、ギリシャの財政問題が周辺国とりわけPIIGS(ポルトガル、アイルランド、イタリア、ギリシャ、スペイン)に波及することである。
それが今回起きてしまった。
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これはPIIGSの2年国債の利回りである。
直近で見事に利回りが急上昇してEU当局が恐れている周辺国への波及が始まりかけている。

すでにギリシャの一部デフォルトをマーケットが織り込みにいっており、このまま問題を先送りするような解決策しかできないのであれば、マーケットは容赦なくスペインやイタリアを債券市場から退場させていく様相(国債が売られ利回りが上昇することによってマーケットで資金調達できなくなってしまう状態)となっている。

EU当局がEU崩壊という選択肢をするとは思えないので、EU当局およびECBが今後どんな解を出してくるのか要注目したい。

欧州財政問題はまだ一波乱二波乱ありそうだ。


ギリシャ関連のエントリー
1.ギリシャ問題まとめ①
2.ギリシャはデフォルトする、EUは不滅
3.ギリシャ問題UPDATE~周辺国への波及~
4.ギリシャのデフォルト時期はわからない
5.欧州危機~ギリシャの次の課題


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