ニコンのガチャガチャ2 | カメラの自由研究

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東ドイツ製カメラの備忘録の予定でしたが、所有するカメラの個人的意見の方が多くなりました。

 このブログは、「ニコンのガチャガチャ1」の続きです。


4 歴史2・ガチャガチャ後


⑴ Ai化の概要

 ガチャガチャは、1977(昭和52)年に「伝達」方法がそれまでのカニ爪から絞り環のマウント側にある切り欠きを使うようになった、所謂Ai化によって不要な作業となりました。

 Ai化の「Ai」とは、Automatic Maximum Aperture Indexing の事だそうです。それぞれの単語の意味は次のとおりですが、繋げると「開放F値自動補正方式」となるそうです。

Automatic = 自動の(A)、自動機械(N)

Maximum = 最大の(A)、最大(N)

Aperture = 絞り値(A)

Indexing = index = 索引を付ける(V)


 因みに、Ai化された1977(昭和52)年に発売された機種は次のとおりです。

3月 ニコンF2フォトミックA 

〃   ニコマートFT3 

5月 ニコンFM 

〃   ニコンEL2 

 なお、ニコンF2フォトミックASは1977(昭和52)年7月発売、ニコンFEは1978(昭和53)年4月でした。


⑵ AiレンズとAi前のレンズ

 AiレンズとAi前のレンズの対比をしてみました。左側がAi前のレンズで、右側がAiに改造したレンズです。


 上段の画像のとおり、左側のAi前はカニ爪に穴がなく、右側のAiにはカニ爪に穴が空いています。これは、中段の画像でわかるように、カニ爪の裏側にも追加で刻印されている絞り値に光を当てるためだと思われます。

 中段の画像は、マウント面を俯瞰したものですが、左側のAi前は絞り環がマウントより高くなっていて(俗にいう袴ですね)絞り環のマウント側には凹凸が無く平らになっています。対してAiは絞り環のマウント側には凹凸が付き、カニ爪の内側にも絞り値の刻印がされました。

 下段の画像は、絞り環のマウント側の凹凸を拡大したものです。右側のAiはF16近辺が一段高くなっています。この段差部分がボディーの露出計連動レバーと噛み合って、レンズの開放F値を伝達します。


⑶ Ai化後のカメラ1(Ai化直後)

 Ai化直後のボディーをフォトミック系代表のF2フォトミックAとニコマート系代表のFMとで、開放F値の伝達方法を比較してみました。これもフォトミック系とニコマート系とで機構が異なります。

 左側がニコンF2にフォトミックAファインダーを装着した状態、右側がニコンFMです。

 上段は全体像で、中段は露出計連動レバーの部分を拡大したものです。この露出計連動レバーは、Ai前のレンズを装着しようとすると干渉してしまいます。そのため、下段のように排除する事が出来ます。フォトミックAは、上方向に指で押し込めば畳めます。また出す時は再度上方向に押し込むと出てきます。ちょうどSDカードをカメラにセットする時と同じ感じですね。FMは、露出計連動レバーの右下にあるピンを押し込みながら指で上に跳ね上げればその状態で止まります。戻す時は指で下に押し下げるだけです。


 Ai方式の「伝達」の画像です。上段はボディー側レンズ取付指標に沿ってレンズをはめ込んだ状態です。中段は上段の状態からカチッと音がするまで回して取り付けが完了した状態です。下段はボディー側の露出計連動レバーがレンズに切り欠きに嵌っている部分を拡大したものです。


⑷ Ai 化後のカメラ2(F3の時代以降)

 F3になるとフォトミックは廃止されたので、上で言ってきたニコマート系に統一されます。しかし、露出計連動レバーは、①可倒式のもの、②固定式のもの、③存在しないもの、に別れていきます。大まかに分類すると、①はフラッグシップ、②は中級機、③は入門機という感じでした。入門機を購入する人は古いレンズを使わないという考えのコストカットですね。

 ①代表のF3と②代表のFAを比較してみます。露出計連動レバーが金属製でそれを跳ね上げる時にロック解除するピンの有無ですぐにわかりますね。②のボディーはAi前のレンズを取り付けようとしても、露出計連動レバーが干渉するので取り付けられません。無理にすれば付かない事もないのですが、破損の恐れ大なので絶対おすすめしません。


⑸ Ai 化後のカメラ3(デジタルの時代)

 デジタルの時代は、①可倒式のものは消滅して、②固定式のものか③存在しないものに二分されました。唯一Dfだけが① 可倒式のものとなっています。

 ①のDfと②代表のD750を比較してみます。デジタルの時代で非CPUのAiレンズを使用する場合、露出計連動レバーは付いているのですが開放F値はボディーに「伝達」されないので、セットアップメニューの「レンズ情報手動設定」画面から入力してする必要があります。

 ガチャガチャ以前に戻ってしまった感がありますね。


 次に、①可倒式の露出計連動レバーを倒してAi化前のレンズを付けてみます。左側の

はDf、右側はF3です。

 上段の画像は、露出計連動レバー何倒れていない状態です。

 中段の画像は、露出計連動レバーを倒した状態でです。

 下段の画像は、露出計連動レバーを倒した状態でAi前のレンズを付けたところです。


 上と同じ事をF4とF5でしてみました。まぁ当然上と同じですよね。


5 提言

 ニコンは、ミラーレスより前は「不変のFマウント」と言って、ニコンF以来のFマウントを続けてきました。しかしながら、ミラーレスでマウント変更しました。マウントアダプターを用意してはいますが、レンズとボディーとの間は電気的な「伝達」のみで露出計連動レバーのような機械的な「伝達」は残されていません。

 そこで、私が妄想するミラーレスカメラを提言として記載させて頂きます。いつの日かこんなカメラと巡り会えるといいですね。


⑴ デザイン

 これは、F3がいいですね〜。私と同じ意見の人はたくさんいると思います。


⑵ 巻上げレバー

 これはあるといいですね。

 機能は、かつてのエプソンRD-1のようにシャッターチャージ用ですかね。

 F3の巻上げレバーのトルクが再現出来るといいですね。


⑶ レンズ

 Zレンズの「SE」に次の機能が有ると幸せですね〜

イ Ai方式の絞り環

ロ カニ爪


⑷ マウントアダプターFTZ

イ Ai方式の機構

 かつての接写リンクPK-11〜13 のような機構を取り入れて欲しいですね。レンズ側は跳ね上げ式がいいですね。

ロ カニ爪に対応する機構

 これもかつての接写リンクPK-1〜3のような機構を取り入れて欲しいですね。



7 reference 


ニコン全一眼レフカメラ発売年表/仕様(byキンタロウ)

https://kintarou.skr.jp/sanpo/cameralensHistory.htm#Nikon_F