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〜エレベーターの住人5〜



次の日
俺は再び
あのエレベーターの前に立っていた

ハァー…

なんでこんなこと…

俺だって
怖くないわけじゃ無いんだよ
実感してるからこそ
人一倍怖いんだって!

なんてこと言っても
まぁ誰も分かっちゃくれないだろうが

重い右手を上げ
エレベーターの
下のボタンを押す

エレベーターが
ガタンとまた
お世辞にも嬉しくは無い音を立てて
上昇してくる。

本当にやるのか?
今ならまだ引き返せる
俺だって経験は積んできたし
力だって沢山ある
今までも失敗はしたことは無いが
そんな事もたまたま運が良かった
だけかもしれない。

素直に話しができる段階であれば良いが
ひょっとしたら…もう…

そうなってしまっていたら
あの密室だ
俺だってただ事では済まない。

エレベーターが上がってくるまでの数秒間に
俺は何度もなんども同じ質問を
頭の中で繰り返した。

それでも…

よし!!!
行くか

どうせ俺はもう
人生に悔いは無い
むしろ楽になりたいと
あれほど思ってたくらいじゃないか。
好都合さ!

妙なポジティブで
俺は覚悟を決めた。

「出て来いよ」
「爺さん」
「話しをしようじゃないか」

小さな小声でそう呟いた。

そうして上がって来たエレベーターの
小窓から見える狭く
薄暗い室内は
蛍光灯がチカチカと
不定期に切れたりついたりしていたが
その中心には…

既に立っていた
確かに…

うつむき加減のためか
その表情は陰っていて
伺えなかったが
俺にはそれが何よりも怖く感じられた。




Written by Tomo