佐野元春&THE COYOTE BAND 今 何処 TOUR 2023 ファイナル in 北海道 | 新時代のリアル

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昨日、佐野元春&THE COYOTE BANDのライブに行って来た。
コロナ禍になりライブから遠ざかっていたがようやっと参加することができた。
2022年のアルバム『今、何処』を引っ提げたツアーがファイナルということで会場は超満員。
開始前から否が応でもボルテージが高まる。
開演のベルが鳴り佐野元春&&THE COYOTE BANDが登場した。

「さよならメランコリア」、「銀の月」、「クロエ」とアルバム『今、何処』からのナンバーが立て続けに披露され、序盤から熱いステージが展開された。
今回はステージの背景にアートと言葉が融合した映像が映し出されており、楽曲のイメージがくっきりと浮かび上がる仕掛けがなされていた。
特に「銀の月」では宇宙に誘なわれる感覚に陥るほど映像が綺麗で、演奏とも上手くマッチしており感動のあまり心が震えた。

MCで佐野さんからご挨拶。
「北海道で最終公演を迎えられて嬉しく思います。最後まで楽しんで行ってください。」

「植民地の夜」、「斜陽」、「冬の雑踏」と続き、アルバム『今、何処』の曲はどれも完成度が高い。
今がキャリアのピークじゃないかと思うくらい佐野さんは底が知れないアーティストだと思う。

同年にリリースされたもう1つのアルバム『ENTERTAINMENT!』からは「エンタテイメント!」と「愛が分母」が披露。
 

「エンタテイメント!」に入る前のMCで今の日本のエンタメ業界は革命が起こるだろうと語っていた。

エンターテイメントの光と闇を描いた曲で、終始その世界観に圧倒された。
 

続いて「愛が分母」は世界中の子供達に届いてほしいダンシングナンバーだと説明。

タイトルは奇抜だが聴いているだけで踊りたくなる楽しい曲だ。

「愛が分母 愛が分母 愛が分母なら Say Yeah!」の箇所では会場が大いに盛り上がった。

「禅ビート」、「La Vita è Bella」、「純恋(すみれ)」と以前から人気が高かったコヨーテレパートリーが披露。
コヨーテバンドは音に厚みがあって洗練されており、メンバー同士も強い絆で結ばれていて、それが良い音になって現われていると感じた。

MCで「コヨーテバンドは今年で結成されて18年になる。アルバムは6枚リリースされていて、どれも良いアルバムなのでぜひ買ってほしい。」と紹介していた。

80年代初期の「ハートビート」を挟み、「エデンの海」、「君の宙」、「水のように」、「大人のくせに」、「明日の誓い」とアルバム『今、何処』からのメドレーはとどまることを知らない。


「エデンの海」では海と丘の映像が映し出され、「今この瞬間に光を放ち闇夜の全てを照らし出せ今すぐ!」と力強くシャウトする姿が深く心に突き刺さった。
 

「君の宙」はどんな状況でも君を守りたいと切実な想いが込められている。

コロナ禍に入り目まぐるしく情勢が変化する中で自分が守るべきものが何なのか見失うことは少なくない。

祈りにも似たこの曲は今回のツアーのキーポイントとなる曲だったと思う。


「水のように」では水と空の映像が映し出された。

水のように優しく激しくありのままの心。

空のようにどこまでも広がる健全な魂。

水や空のような人って誰だろうと想像していたら佐野さんが思い浮かんだのは私だけだろうか。


「大人のくせに」はナイーブで傷つきやすい大人をテーマにしている。

大人になりきれず悩む全ての人達に贈られたメッセージ。

素朴であっても惑わされることなく一人でずっと歩いて行こう。

熱狂の象徴の英雄やファシストなんていらない。


「明日の誓い」は大人になり遠くに旅立つと決めた君への応援歌だ。

旅は決して平坦ではなく迷い立ち止まることだってある。

その時にはこの歌を聴いてほしい。

より良い明日を迎えるために。

「優しい闇」を挟み、いよいよクライマックスへ。
MCで佐野さんは「みんなちゃんと付いて来てる?僕らコヨーテバンドは進みすぎてない?」と呼び掛け、観客席から笑いが起こった。
しかし、そこからが怒涛のアンコールの始まりだった。

1回目のアンコールは「ハッピーマン」、「悲しきレイディオ」が披露。
 

「ハッピーマン」は80年代のアップテンポなロックナンバー。

勢いそのままにシャウトしまくる佐野さん。

一体どこまでエネルギッシュな人なのか。

佐野さんのボーカルに呼応するかのように観客も手を上げて熱い掛け声を送っていた。


「悲しきレイディオ」は佐野さんが根っからのラジオ好きであったことから生まれた曲だ。

「こんな夜にピッタリのビートを探してー」と佐野さんがコールしたら、観客が「ムード盛り上がればー」とレスポンスするのが定番。

個人的にコール&レスポンスは大好きで毎回ライブでやれることを楽しみにしている。

2回目のアンコールは「黄金色の天使」、「Sweet 16」、「約束の橋」が披露。
 

「黄金色の天使」は2007年のアルバム『COYOTE』からのナンバーだ。

「成長」は佐野さんが昔から掲げていたテーマである。

誰もが戸惑いながら大人になって行く中で黄金色の天使を探し求めている。

はたして自分は黄金色の天使を見つけることはできたのだろうか。


「Sweet 16」は1992年のアルバム『Sweet 16』のタイトルナンバーだ。

この曲を聴くと自然と青春の甘酸っぱい記憶が蘇る人も多いのではないかと思う。


「約束の橋」は1989年に一度シングルカットされたが、1992年に再リリースしたところ70万枚の大ヒットを記録している。

ファンの間では「サムデイ」や「アンジェリーナ」と並んで非常に人気が高い。

自分を肯定してくれるポジティブな歌詞とサウンドには何度も勇気付けられた。

3回目のアンコールは「ニューエイジ」、「アンジェリーナ」、「サムデイ」が披露。
 

「ニューエイジ」は1984年のアルバム『VISITORS』からのナンバー。

制作当時、佐野さんはアメリカにおりこれから新しい時代が到来すると予感してこの曲を書いた。

あれから40年近く経った現在はコロナ禍の真っ只中だが、混沌とした今だからこそ十分に響くことが証明された。


「アンジェリーナ」は言わずと知れたデビュー曲。

直前のMCで「ツアーファイナルだから明日からこのツアーはない。だから暴走するよ。」とポツリ。

その言葉通りガムシャラなまでの勢いでギターをかき鳴らして熱唱し、観客に「カモン!カモン!カモン!」と煽っていた。熱いロック魂はまだまだ続きそうである。


「サムデイ」に入る前のMCで「サムデイは僕とファンを結ぶ大切な曲。知っている人がいたら一緒に歌ってほしい。」と呼び掛け。

曲が掛かると会場一体となっての大合唱。

私はこの曲を知ったのがきっかけでファンになったので感慨深かった。

佐野さんの今、何処を探す旅は幕を閉じた。
2019年のレコーディングから始まった旅は想像以上に波乱万丈であった。
コロナ禍による活動自粛、身体のメンテナンスで入院、足膝関節の手術、コロナ感染など数々の困難があった。
しかし、佐野さんは持ち前のポジティビティ・バイタリティ・ユーモアでそれらを跳ね返して来た。
それだけに、ライブが終わった時の佐野さんの表情は達成感に溢れていた。
佐野さんはこれからまた新たな旅を見据えて進んで行くことだろう。
どんな旅になるかは誰にも分からない。
これまで見たことがない刺激的な光景を見せてくれることだけは確かだ。
その日が来ることを心より願っている。


【セットリスト】
1.さよならメランコリア
2.銀の月
3.クロエ
4.植民地の夜
5.斜陽
6.冬の雑踏
7.エンタテイメント!
8.愛が分母
9.禅ビート
10.La Vita è Bella
11.純恋(すみれ)
12.ハートビート
13.エデンの海
14.君の宙
15.水のように
16.大人のくせに
17.明日の誓い
18.優しい闇

(アンコール1回目)
19.ハッピーマン
20.悲しきレイディオ

(アンコール2回目)
21.黄金色の天使
22.Sweet 16
23.約束の橋

(アンコール3回目)
24.ニューエイジ
25.アンジェリーナ
26.サムデイ