パテントリンケージ(12)オーストラリア | 医薬品特許の備忘録

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オーストラリアは2005年にパテントリンケージ制度を導入した。

 

オーストラリアでは,対米FTAの規定により2005年1月にパテントリンケージ制度を導入した。規則によると,後発品申請者が,特許のある製品(a product),または特許のある用途に関する製品(a produce for an approved use)を販売することが禁止されており,特許のある製品の後発品を申請する際は,特許権者に通知することを要する。しかし実情は,特許権者が後発品申請について通知を受けることはなく,特許権者は独自に監視をして,直ちに権利行使・後発品参入を阻止する必要があるようだ。すなわち先発メーカーは,後発品の販売が特許権を侵害する恐れがある場合は,裁判所に,後発品の販売を禁止する予備禁止命令(Interlocutory injunction)を申請する必要がある。裁判所が予備禁止命令を出すと,禁止期間中は,後発品の販売が禁止される。このような現状について,先発・後発両サイドから,制度の実効性が無いことについて業界団体を通じてクレームがでているとのことである。

 なお,先発特許情報の登録は行われておらず,後発品申請者が承認を得た場合でも,独占期間は付与されない。

 

参考文献:

GIPC「PROVIDING CERTAINTY AND PREDICTABILITY ”HOW PATENT LINKAGE MECHANISMS HELP INNOVATORS, FOLLOW-ON MANUFACTURERS, AND PATIENTS”」(2019)https://www.theglobalipcenter.com/wp-content/uploads/2019/09/GIPC-Linkage-Zoom-In-Report.pdf (as of May 8, 2023)