第5話 オーガー森林公園!協力して生き残る道! | 連続ブログ小説ネバーフェイリングメモリー

連続ブログ小説ネバーフェイリングメモリー

オレの冒険、ネバーフェイリングメモリーは8月1日より31日まで毎日更新!好きなキャラとか感想なんかも、どしどし送ってくれよな!

第5話



オレは、こんなにすぐそばに大切なものがあったことを―――いつも―――

長身の男を先頭に、他5人の男たちもなにかのフォーメーションなのだろうか―――全員一定の間合いを保持したまま近寄った。抜け出せる隙は……ないっ!

殺されはしない…今は。でも、このままじゃあ……!

「ミユ……」

心配したライバーかオレのすぐ傍で鳴いている。

怪我をしてほぼうつ伏せのオレは、肘をついて必死に上半身は起こす。

ライバーを左手で抱きかかえた。あまり力は入らなかったが。少しでも逃げることを諦めちゃいけないと思った。この状態でオレはどこまで行けるのか…ランセットにライバー・トニーを任せて逃げてもらうのが最良の選択―――そう思っていたけど、そうじゃない。

みんなで生き残ることを諦めちゃいけないんだ。誰も犠牲にせず。

ランセットは片膝をついて、オレの視界を覆うように上半身を抱きしめた。

ぐっ……!

その力が。少しだけ…いや?!急激に強くなった!

「今やランセット!」

「おうっ!!」

今まで存在感のなかったトニーの声が響き、ランセットは勇ましい声で応えた。

ランセットはオレを抱えたまま、奴等のいる方向とは逆へ大きく跳ぶ。


5話覚醒ランセット

夢を見ているような…それくらい、大きく跳んだ。オレを抱えたまま、こんなに大きな跳躍。試合の時に見た、あのすごいダンクシュートですら比べものにならないくらい。

すると―――長身の男と他2人も同じくらいの高さへ跳躍、他の奴らは真っ直ぐこっちへ疾走する!

「トニー、頼む!」

「あいよっ!」

トニーの姿は見えない。だが、その声がした途端、奴らは頭を押さえて苦しみだす。

その一瞬の怯みを逃さず、ランセットは長い跳躍を終えて着地した途端、オレを担いだ状態のまま全力疾走で逃げ出した。

二人ともそこそこ鍛えているからそれなりに動けるが、ランセットにオレを担いで走るような筋力があるのはおかしい―――だが。

頭の苦しみから立ち直った奴らがすごいスピードで駆けてくる。

ランセットは一人でオレとライバーを抱えているせいか、距離は少しずつ縮まり、追いつかれる。その瞬間―――

ざっ!

オレたちのすぐ前に上から人が降ってきた。木の上にも一人隠れていたのか―――!

その男は長い銀髪に青いバンダナを巻いていて、格好はデニムのパンツとジャケットに革のグローブにブーツ。冒険家のような格好だ。体格は大柄でムキムキすぎない柔らかそうな筋肉のマッチョだった。年は30前後くらいだろうか。

敵だと思ったけど、ひょっとしたら違う……かもしれない。覆面してないし格好も違うし。それになにより、男の顔はめちゃめちゃ爽やかワイルドで、瞳の輝きが明らかに違っていた―――

「お前たち、大丈夫か?」

目の前の銀髪の男は、低くてカッコいい大人の声でそう言った。

後ろをつけてきた覆面男たちは警戒して一定距離を保って停止する。

「何者だ?!」

どの覆面男が言っているか分からないが、少し焦りが混ざっているように聴こえる。

銀髪の男はオレたちと覆面男たちの間に入り、こう言った。

「いい年したおっさんたちが、大勢で子どもを虐めてるのは感心しないな!俺、そういうの許せない(たち)なんでね」


5話通りすがりのお兄さん

声には余裕が十分あった。しかし6人も相手にするのは無謀すぎる。

「―――警察の人間ではなさそうだが、首を突っ込むとは命知らずだな」

めちゃ低い覆面男の声。一番大柄な奴だろうか…

「待て!この男からも反応が―――」

覆面男の誰かの声は途中で掻き消えた。

銀髪の男は一瞬で間合いを詰め、みぞおちを殴った。そのまま左腕で頭部にフックを入れ、覆面男は悲鳴を上げることなく大きく右方向へ吹き飛ぶ。

「うぐ……が…あ………」

かなりダメージが大きかったようでうずくまったまま、呻き続ける。

「どうした?全員で来いよ?」

銀髪の男が挑発を入れると、覆面男のうち二人がそれに乗って飛びかかる。

冷静にその場で対峙したのは長身、大柄、マッチョだけ。

うち一人が右手と左手を交互に振りかぶり続ける。何かを持っているようにはここからは見えないが、透明な何かを投げつけているようにも見える。銀髪の男は大きな身体を機敏に捻りながらかわし、かわしきれない何発か(?)は、拳で弾き返しているようだ。

双方の身体の動きは目でかろうじて追えるが、常人のものではない。

もう一方の覆面男は投げつけ男の上をはるかに高く跳んだ。

そして……

こおおおおっ!

覆面男の翳した手から、バーナーのような炎が発生した。それは投げつけ男とのやり取りで手の塞がっている銀髪男へ浴びせられる。銀髪男は逃げられない!が……、大きく右へ跳びかわす。にぃっと笑い、着地したと同時に近くを流れる川の水に左手を突っ込む。

すると、川の中からぶくぶくと大量の気泡が浮かんできた。

まるで沸騰しているようだが、周囲に熱気がないのと湯気らしきものが見えないので、温まっているわけではなさそうだ。一方、右手は炎を放った覆面男に向けられている。

炎男は警戒して身構えるが―――何秒かして。何も起きなかった。

「ふんっ。ハッタリか?それとも術の発動に失敗したのか?」

投げつけ男は鼻で笑いながら銀髪男を指した。そして

「ケーティー、燃やしちまえ」

「OK」

ケーティーと呼ばれた炎男は防御の構えを解き、両腕を銀髪男に向け、炎を発生させた。

ぼおおおおおおおおっ。

炎は勢いよく、発生させたケーティー自身とその傍にいた投げつけ男を飲み込んだ。

「がぁあああああああああ!!」

「ぐっうぅぅぅぅぉぉぉぉぉぉぉお!」

二人は燃えながら狂ったように踊った。このまま焼け死ぬのかと思いきや―――

ばっ!

今度は遠くから黙っていた長身男の放った突風が二人の炎を掻き消した。燃え盛る炎からは解放されたが、火傷がひどいのか。痛そうに呻きながら横になった。

「もういい。退くぞ」

長身男はそう静かに言い放ち、銀髪男を鋭く睨み付けた。

マッチョは最初にやられた奴を担ぎ、大柄は火傷を負った二人をそれぞれ片腕で持ち上げる。大柄とマッチョが後ろへダッシュして戦線を離脱する間、長身男と銀髪男は互いに視線を交わす。

間もなく、5人の覆面男の気配が完全に消えた。そして、長身の男も無言で木々の奥深くへ消えた。

6人で来たからか、半分の3人がやられた段階で離脱を考慮に入れたのだろうか。仲間に担がれたということは、やられた覆面男たちは一人で離脱できないほどダメージが大きかったのか、あるいは気絶していたのか。

銀髪の男はそれほど強かったということ―――

「よお、少年!怪我はひどいのか?」

兄貴調子で気さくに声をかけ、オレに近づいてきた。

「あ、ありがとうございます…」

オレはお礼を言った。でも…何かすっきりしないもどかしさがある。

「どれどれ……」

太い腕で、オレの太腿の裏を診る。

少し、渋い顔をされた。さっきからずきずきと痛むし、出血もかなり多い。ズボンに血の跡が染みわたっている。ただ、我慢出来ない痛みでもないが、決して放っておいていい気がしない。

「あ…あの―――あまり良くなさそう…ですか?」

オレはだんだん心配になってきた。

すると、銀髪の男は頭に巻いていた青いバンダナを外し、オレの足にきつく巻いた。

バンダナに血が少し染みる。ただ、きつく巻かれると痛みが少しだけ和らぎ、安心できた。直接圧迫止血。患部を圧迫すると止血できるということを、昔、救急法の授業で教わった気がする。

「男だろ?我慢しろよ。酷ければ救急車を呼ぶべきなんだろうが…まあ、お前なら何とかできるだろ」

そう言って、ライバーの方に目を向ける。

「ミユ!ミユ!」

視線の合ったライバーは何かを訴えるように鳴いた。

「あの……バンダナ、今度洗って返します」

申しわけなくオレは言った。

「いいって!そんなの!それよりも、おまえたちもマインド持ってるなら、あんな奴らに負けるなよ。多分、マインド狙いの誘拐犯か何かだろうな。気を付けろよ!」

おまえたち―――も?

ということはこのお兄さんもマインドを持っているということになる。

色々な疑問が残るが、何か一つの線で繋がるような気がしてきた…。

ブッブッ、ブッブッ。

ケータイの振動する音が聴こえた。オレじゃない。

「あ、もしもし。―――はい、完了しました。―――問題ありません。―――……ではただいま戻ります―――」

お兄さんは懐から取り出した自身のケータイで上司(?)と連絡を取った。通話が終わると、ランセットが訊いた

「あの。おじさんは刑事さんなんですか?」

お。おじさん……お兄さんだとオレは思う。

「ははは、そんなんじゃねーよ。たまたま近くで昼寝してたらお前んとこの変な言葉喋る奴に助けを呼ばれただけさ」

変な言葉……?トニーしか思い浮かばない。

――――――そうか。

トニーは喋れない。トニーが喋るように見えてしまうのはテレパシーを使えるから。

そのテレパシーを敵側に飛ばさずに、より広範囲に拡張できていたら…?このお兄さんはトニーからのSOSをキャッチしてここまで助けに来てくれた―――ということになる。

逃げてる途中から、いつもお喋りなトニーが喋らなくなり存在感もなかったと思ったら、見えないところでそうしてくれていたのか。

ランセットがオレを抱えて守ってくれた時、敵は一時頭の痛そうなモーションだったが、それもトニーが敵限定でテレパシーを使い、混乱させたりする悪い信号を送ってくれていたからとすれば合点がいく。

「あんちゃん!おおきにや!ワイらほんまに助かったで~」

気が付くとトニーはランセットの足元にいた。(第一章 LEAVE 完)