太極拳が体に良いというのは何となくイメージができると思いますが、なぜ良いのかということになると明確に答えるのは少し難しくなります。

 

ここで数年前、インドで開業していた時に出会った1人のインド人女性についてお話しします。

 

その方、Mさんは50代半ば、全身が痛むというのが来院されたきっかけでした。

 

特に首から腰にかけて緊張が取れず常に筋肉痛があり、長時間座ることも寝ることもできず坐骨神経痛のため、散歩も難しい状態でした。

 

そのような状態が続いたため、頭痛と食欲不振もあり精神的にもまいっている様子で、整形や精神科、インド伝統医学、鍼灸など試せるものをすべてやってみたが改善がないため、仕方なく(笑)よくわからないジャパニーズのところへやってきました。

 

数回の指圧や運動療法により症状は改善するものの、次回までの一週間でほとんど元の状態に戻ってしまうとのことで、さてどうしようと思っていると、Mさんが「あなたはいつも姿勢が良く元気そうだがどうやって身体を維持しているの?」といわれました。

 

僕が「太極拳を毎日やってます」というと、それを教えてほしい、というのです。

それでは、と言ってはじめたのが少しずつお勧めしている太極拳の動きを施術に組み込んだタイチーセットです。

 

太極拳は一見気持ちの良い動きに見えますが最初のうちは特に痛みや緊張が強い人はとても疲れます。

 

ですから太極拳の後、調整のための運動療法と指圧をするのをセットにして身体の回復のための太極拳をはじめました。

 

わずか1、2ヶ月でほぼ全身の痛みが改善し、帰りにつっかけのようなサンダルでスタスタと帰っていかれるようになったのをよく覚えています。

この間、太極拳の必要条件を満たそうとしながらただ一緒に動いた、というだけなのです。

 

では何がそんなに効いたんでしょう?

 

太極拳の要諦の中で最も大事な頭のてっぺんを上に引かれる感じと、丹田を意識すること、ある程度それができている僕のことを見ながら動くことでミラーニューロンが働いたことにより、早く結果が出たのです。

 

なにしろMさんは背中が丸く、強い反り腰で上から重りで押されたように背骨のS字がきつくなっていました。

そのために上半身の力みが抜けなかったのが、要諦に従い動くことによって程よい状態に戻った、ということです。

 

最近の人の姿勢の傾向は、携帯やパソコンの常用により以前に増して背中が丸く、その丸みをフォローするために腰をそらせたり背中や首に力を入れたり、ということばかりしてしまいます。

 

 歩行や運動も少ないため、腹の力や尻を締める、などの身体を維持するためのコツ自体忘れてしまっています。そのコツを思い出せるようなことがたくさん含まれている太極拳のお話を次回もしていきたいと思います。

 

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