脊柱起立筋(棘筋、最長筋、腸肋筋)は本当に背骨を立てる筋肉なのでしょうか?



僕はこれを、どうもあやしい、と思い始めたのが15年前。

この筋肉を「背骨を立てる」ことに使わなくなって10年近く経ちます。

もちろん「動作」には使います。

しかし、姿勢の維持には使いません。


起立筋を姿勢維持に使うということは、絶えず筋力で背骨を吊り橋のように吊って、頭や上半身の重さを持ち上げている、ということ。

これは、四つ足の動物が後ろ脚で立とうとする時の方法です。

股関節の可動域が狭い動物が背筋を使って腰を反らせ、がんばって立っている状態です。



当然長続きせず、四つ足に戻ります。


人間は、2足歩行できる身体です。

その確固たる証拠が、股関節の可動域です。

脊椎動物の中で唯一股関節伸展位ができるのが人間です。



股関節伸展ができる、ということは、そこより上の部分、骨盤から上の部分をバランス感覚で立てられるということです。

しかし、そこで大事になってくるのが骨盤の固定力と脊柱を立てる力です。

股関節を上手に使えば背骨を吊り橋状に吊る必要はありませんので、起立筋は既に姿勢維持に必要ありません。


ではどの筋肉を姿勢維持に使うのか?

腹横筋と多裂筋、そして骨盤底筋です。

腹横筋と骨盤底筋で腹圧を上げ、骨盤を固定し、多裂筋を使って背骨を立てます。

といっても何だかよく解りませんので、これらの感覚を言語化すると、肛門を閉じる、下腹をひっこめる、頭頂を突き出す、だけです。

大事なのは、リラックスして、静かにその感覚を維持していく、ということです。


がんばったり、力んだりすることとは違うこの筋肉達は、鍛えるのが少し難しいです。

いや、難しいのではなく、知らない感覚、と言った方がよいかもしれません。

知らないのですから、がんばりようがないわけです。

がんばらず、探っていくという感じでしょうか。


こう書くと、特殊なように感じられるかもしれませんが、これを使っているのが、バレリーナやヨガの先生、フィギアスケート選手、バスケット選手、それと、腰を反らせないタイプの武術家の方、などです。


脊柱起立筋の多用、特に姿勢維持での使用は、頚部の凝り、腰背部のコリ、痛み、ヘルニア、その他の多くの症状があらわれます。

つまり、脊柱起立筋は姿勢維持筋ではないのです。


いつの日か、天動説みたいに「脊柱起立筋で姿勢の維持だなんて言ってたよね~」という日がくるかもね。



NEUTRAL BASE in Bangalore 山下洋平