鳥は空中で生きる。
魚は水中で生きる。
人は地上で生きる。 この惑星の上で 。
しかし、地上のどこで生きる?
何のために?
鳥が撃ち落され、水中に落下して死んだ。
魚がつりあげられ、大地に放り投げられ死んだ。
彼は、ある空間を求めた。
彼は、楽しみとか好きとかそのために生きているのではなかった。
この地上は彼にとっては息苦しかった。
毎日が、強度の喘息のようで彼は窒息しそうだった。
周囲の人間は彼を病気だと思っていた。
彼も周囲からそう思われていることを知っていた。
ある空間を知った日から
彼の人生はこうなった。
でも彼の目は輝きを失わず、その空間をいつも求めていた。
それがなければ彼は生きていくことはできない。
鳥が空中で生きるように
魚が水中で生きるように
彼はその空間でしか生きることができなかった。
そこは、砂漠の中の蜃気楼のようだった。
突如現われ、瞬時に消えていく。
奇跡的であまりに美しかった。
1度それを知ったなら、
それ以外のすべてが虚しくなってしまう。
彼には理解できなかった、なぜ周囲の人間が普通でいられるのか。
でもそう考えるとき、彼は自分にはそんなに理解者が得られないと
感じるのだった。
そんな風に感じるとき彼は悲しくなった。
感動と言う名の空間は、そこに集まるべくして生まれてきた
人々のものであった。
彼は知っていた、明日となりの人に声をかけたところで
2人とも永遠にそこへはたどり着けないことを。
彼は優しかった。だから自分の知った世界を周囲に伝えたかった。
しかし、理解するものは誰もいなかった。
あるとき彼の心はこう叫んだ
気がついたら「そこ」にいてくれ!
ごく自然と「そこ」にいてくれ!
僕もそうするから。
今、お前が「ここ」にいるように
気がついたら「そこ」にいてくれ!
感動と言う名の空間は、そこに集まるべくして生まれてきた
人々のものであった。
彼は知っていた、明日となりの人に声をかけたところで
2人とも永遠にそこへはたどり着けないことを。
しかし、彼も行き詰っていた。
砂漠の中の蜃気楼はそんなに生易しくはなかった。
彼はこの地上で、いつも窒息しそうだった。