『鎌倉殿の13人』~後追いコラム その143
第43回 資格と死角
今回は今話の雑感を。
お気づきの方も多かったと思うが、まずはオープニングの中で、実朝(柿澤勇人)と公暁(寛一郎)が並んでいた。被害者と加害者が同じ画面に!何とも因縁深い画面だった。今話のタイトル「資格と死角」だが、もう一つ『刺客』が隠されている。ネットでも最強のアサシンと言われた公暁だ。次回に展開される恐ろしい事件を想起させる。
後鳥羽上皇の皇子を鎌倉殿として迎えたい実朝と、重要事を少数で決めるのはと疑問を呈する義時(小栗旬)。実朝暗殺を巡って、その黒幕は誰かという史上を騒がせる謎に関しても、さまざまなエサが撒かれている。公暁が鎌倉殿になるという願いを、「必ず叶えてご覧にいれます!」と言い切る義村(山本耕史)。次回以降のワクワク感が止まらない。実朝暗殺の黒幕をどのように描くのが楽しみだ。
都で藤原兼子(シルビア・グラブ)との女同士の対決を制した政子(小池栄子)。従三位に補され、鎌倉に帰って、実朝に『じゅさんみー』と得意がる政子。夫頼朝(大泉洋)が征夷大将軍に任じられた時に、政子から『せいいたいしょうぐーーん!』と夫婦二人で戯けた場面が思い出された。今回の大河ドラマは、何と多くの仕掛けがあることか。はまっている者にとっては、たまらなく楽しい。まるで、アメリカのB級映画で、ハリウッドの名画をパクったような場面が出てくるように。ハリウッドの名画を見ていなければ何もわからない場面がたくさん出てくる。それと同じような、はまっているものの快感が、今回の大河ドラマには多々出てくる。それにしても、この二人の女の対決は、面白かった。
実は、藤原兼子については、まだこのコラムで書いていない。書きたい気持ちはヤマヤマだが、手元に史料(系図等々)がなく書けない(泣)糸魚川の図書館にも史料がない。だから書けない。ごめんなさい!
政子とともに上洛した時房(瀬戸康史)が、後鳥羽上皇(尾上松也)と蹴鞠をし、後鳥羽からトキューサと言われる場面も、五郎から成人した時に時房と名乗った時の北条家の場面が被る。
今回のタイトルの『死角』は、何だったのか?公暁の鎌倉殿への想いを気付かない実朝を行っているのか?義時の前で、「私が執権になろうかな」とのうのうと語る源仲業(生田斗真)のことを言っているのか?いずれにしても、このタイトルも三谷流の大いなる前振りだろう。
あと、義時がダークサイドに落ちてから、彼は、嫡男太郎泰時(坂口健太郎)の反面教師として振る舞っているように思えてならない。奇しくも泰時の妻初(福地桃子)が、「自分(義時)のようになるなって言いたかったの!」と夫を叱ったセリフが、そのことを語っているように思える。
いやぁ、残すはあと5回。のえ(菊地凛子)が、仲業に唆されて、義時亡き後、執権の座を泰時ではなく、自ら腹を痛めた子政村に継がせようと企むのか??まだまだ見えないことがたくさんある。予測不可能と銘打った今回の大河ドラマ。まさに、その通りだ。