『鎌倉殿の13人』~後追いコラム その111
第30回 全成の確率
今回は雑感。
いやぁ、今回も神回でしたねぇ。全成(新納慎也)の死については、このコラムのその93に書きましたので、そちらをご参照ください。でも、全成の死の描き方は、さすがに三谷幸喜という感じでした。第7回『敵か、あるいは』で政子(小池栄子)、実衣(宮澤エマ)が討手に襲われた時に何も起こらなかった全成の呪文が、今回は嵐を起こし、落雷によって全成の首をとらんとした八田知家の家臣の太刀筋を誤らせた。このコラムその24で「あの場面(呪文が何の役にも立たなかった場面)がなぜ必要だったか不明」と書いたが、三谷幸喜は全成の最期の場面で見事に回収した。毎回、気合を入れて見ていない方には全く分からなかったであろうこの回収劇、オタクを感じさせる三谷幸喜らしいと言えるかもしれない。また、今回のタイトル『全成の確率』も、以前の回で自分の占いは半分当たって半分外れると言ったセリフを2回目の呪文で嵐を起こすという見事な回収をしている。
(第7回より:この時、全成の呪文では何も起こらなかったが・・・)
来週最期を迎えるであろう比企能員(佐藤二朗)に関しても、今話では北条時政(坂東彌十郎)を上回る策士そして全成を陥れた卑怯者として描かれている。史料的には、今回の能員の動きを裏付けるようなものはないが、史料がないということはどうとでも描けるということ。主人公である義時(小栗旬)の怒りがマックスになっていくような筋立てだった。今回、能員を殺す気満々の善児(梶原善)に殺させなかったのは、次回、トウ(山本千尋)が活躍する前振りかとも思われる。実際には、今話で頼家(金子大地)の近習が実衣を捕まえるためにやってきた時、政子の命で完全武装でそれを阻んだ仁田忠常(高岸宏行)が殺すのだが・・・。これは史料的にも書かれていることなので、トウはやはり二代将軍頼家が修禅寺で暗殺される時に活躍しそうだ。・・・あぁまた妄想が・・・笑(コラムその110参照)
頼朝(大泉洋)がいなくなって、鎌倉殿の13人のドロドロとした権力闘争が展開されることを考えると、次々と人が殺されていく殺伐としたストーリーのスパイスとして、善児とトウは欠かせないだろう。これからも鎌倉殿の13人から目が離せない!