『鎌倉殿の13人』~後追いじゃない先走りコラム その103
第25回 天に望まれた男
今回は、今話の雑感と今後の展開について
いやぁ~洋ちゃん、しぶとい。いやいや、洋ちゃんじゃない、頼朝しぶといですねぇ。区切りのいい第25回で終了かと思ったら、まだ来週も前半部分くらいまでひっっぱりそうですね。ある意味、さすが洋ちゃん!忙しいのに大変だ。『水どう』藩士の端くれとしては、洋ちゃんを心配してます。出なきゃ出ないで寂しいのですが・・・笑。NHKに助命嘆願か何か来たのかな?でも頼朝はもう800年以上前に死んでますから笑。番組最後の『紀行』でもナレーションで頼朝”落馬”の謎と言ってましたね。あえて落馬という言葉を使って、”死”という言葉を使っていないことからも、引っ張るんでしょうね。
それにしても、天下の鎌倉殿が参列した儀式から御所に戻るのに、安達盛長(野添義弘)だけしかいないというのは・・・。伊豆に流された時からの思い出話という設定でもちょっと・・・という感じがしました。
(これはこれで名場面なんだが・・・)
いずれにしても、頼朝が落馬する直前『(北条の)館にきた時』と言ったその言葉は、ロレツが回らないような感じだったので、乗馬中に脳梗塞とか脳卒中とか、そうした脳関係の障害が突発したと思われる。右手が利かなくなって、手綱を離したことから、左脳に異変が起こったのかもしれない。ロレツが回らないことも、言語能力を司る左脳に障害あったことを窺わせる。
『と・う・く・ろ・う』と伊豆配流以降、片時もそばを離れず、苦楽を共にした安達藤九郎盛長の名をしどろもどろに呼んで、頼朝は落馬する。いやぁ、洋ちゃん名演技!
かなり重たい症状であったら、おそらくはその死まで意識は戻らないはず。第26回では、御所に運ばれ、死の床に着いた頼朝の周りを政子(小池栄子)や義時(小栗旬)たちが心配そうに見守る場面が出てきそうだ。
ちなみに、1979年に放送された大河ドラマ『草燃える』(永井路子原作)は、頼朝を石坂浩二、政子に岩下志麻、義時に当時若手の松平健という布陣だったが、頼朝が死の床に着いた場面では、頼朝が大きないびきをかいていた。脳梗塞や脳出血などを発症して倒れると舌根(ぜっこん)が喉に落ち込んでいびきをかく。『草燃える』でも頼朝の死因は脳に何らかの重大な障害が突発したとして描かれていた。今回はどうなるか・・・楽しみ!
(頼朝役の石坂浩二と北条政子役の岩下志麻・・・若!!!)
(北条義時役の松平健・・・こちらも若!)
頼朝の死後は、ご存じの通り嫡男の頼家(金子大地)が二代将軍となる。今話でも頼朝自ら誉めていた通り、父親譲りの女癖の悪さ(※1)、さらには若気の至りとも言えるような思慮に欠ける決断等々が問題となり、いよいよ『鎌倉殿の13人』が主役となって活躍していくことになる。中でも義時は、父時政(坂東彌十郎)失脚後、姉政子と共に頼朝亡き後の幕府を支えていくことになる。
教師をしていた頃、義時・泰時(坂口健太郎)時代の執権政治を『御家人による、御家人のための御家人の政治』とリンカーン大統領の名言を引用して、授業中に話をしたことがある。カリスマ頼朝亡き後の幕政は、この言葉通り、13人の合議で展開していくことになる。注意点は、合議と言っても定期的に13人が集まって、検討課題を議論するというような形式張ったものではないということ。必要に応じて、13人のうち何人かが話し合って、それを将軍に伝えると言った感じ。
そんな中、御家人同士が権力闘争の中で粛清されていく。13人の中で消されていく順番は、梶原景時(中村獅童)、比企能員(佐藤二朗)、和田義盛(横田栄司)。それぞれが壮絶な死に方をする。ネタバレがすぎるといけないので、今ここでは書かない。一回で全員が粛清されるわけではないので、その時まで楽しみに待っていてください。人の死を楽しみにしろというのは、ちと気が引けますが・・・。
義時が死んでから、110年ほどで鎌倉幕府は滅亡する。さまざまな原因が考えられるが、個人的には『御家人のための御家人による御家人の政治』がいつの間にか、『北条氏のための北条による北条氏の政治』へと変質したことが大きな要因であると思っている。
※1 頼家は、安達景盛(盛長(野添義弘)の長男)が京から連れてきた見目麗しい妾を奪う。1199年7月のこと。頼朝が死んで半年しか経っていない時の出来事。