『鎌倉殿の13人』~後追いコラム その21
第7話に向けて
第7話の主役はなんといっても大物佐藤浩市演じる上総介広常だ。佐藤浩市はこれまでも三谷作品に数多く登場している。例えば、『ザ・有頂天ホテル』『清洲会議』『素敵な金縛り』等々、中でも秀逸だったのが、『ザ・マジックアワー』だ。三谷幸喜の奇想天外でコミカルな役どころを見事に演じていた。
しかし、今回の役どころはそうはいかないだろう。
坂東きっての大武士団を率いる上総介広常は、頼朝の父義朝麾下として平治の乱を戦っている。だから頼朝は、安房に渡った時、すぐに上総介広常の元に行こうとしたのだ。北条や三浦とはケタ違いの勢力を誇る大武士団を早く取り込みたかったのだ。
最終的に広常は頼朝麾下の武士となるが、それまで少々怪しい動きをする。だから、第7話の題は「敵か、あるいは』なのだ。つまり、第7話は広常いや佐藤浩市が主役と言っても良い話になるはず。
頼朝は喉から手が出るほどに広常の軍勢が欲しい。それを察している広常は、9月19日、二万の軍勢を率いて頼朝の陣にやってくる。これほどの大群が味方につけば、頼朝は大喜びするに違いない。自分の力がなければ頼朝はこの戦に勝てるわけがないのだからという傲慢な態度で。
対する頼朝は、喜ぶどころか、参陣が遅れたことを厳しく咎めた。大将の器でなかったら、討ち取って首を平家に差し出そうとまで思っていた広常はびっくり仰天。自分の考えが間違っていたことに気付かされたばかりか、頼朝の大将としての器の大きさに感服して、頼朝に恭順した。この辺りのやりとりが、第7話の中心となるのだろう。
大泉洋が虚勢を張って佐藤浩市に向かう場面は面白そうだ。もし、咎められて広常がヘソを曲げて帰ってしまったらどうしよう、とハラハラドキドキの内心を隠す名演技を大泉洋に期待したい。
広常はその後、頼朝軍の中核として貢献するのだが、後に梶原景時(中村獅童)と双六の賽の目で揉めた事がきっかけで景時に殺されてしまう。まだ先の話だが、広常は殺される直前に、もしかしたら三谷流のコミカルな台詞なりがあるかもしれない。また、第7話で景時も出てくるので、壮大な前振りなのかもしれない。
源義経(菅田将暉)、阿野全成(あのぜんじょう:頼朝の異母弟で義経の同母兄、つまり母はあの絶世の美女と言われた常盤御前:新納慎也)、亀(江口のりこ)も出てくる。ますます面白くなってきた『鎌倉殿の13人』をお見逃しなく!
(注)私はNHKの回し者ではありませんW