『鎌倉殿の13人』~後追いコラム その17
第6話 悪い知らせ その1
今回は小坪合戦について。
ドラマの中では、平家軍に加わるために行軍中の畠山重忠(中山大志)を和田義盛(横田栄司)が三浦義村(山本耕史)の戦うなという意を解せず攻撃してしまう場面として描かれていた。
実はこれも史実とは違う。史料的に最も信頼できる『鏡』は、淡々と「由井浜で三浦軍と畠山軍が合戦し、50騎余りが討ち取られた重忠軍が退去した」と記すのみで、戦いの詳細については語っていない。
この場面の元ネタは『平家物語』『源平盛衰記』だが、『鏡』と比べて眉に唾をつけながら読まなければいけない”読み物”だ。
その両書の中で描かれている小坪合戦でさえ、ドラマの中とは内容が違うのだ。私も見ていて頭が混乱したので、ここでちょっと登場人物等を整理してみようと思う。
まず合戦のきっかけを作ったのは、撤退中の三浦軍の殿(しんがり)を勤めていた和田義盛。自分から重忠軍を挑発して合戦に及んだのだ。三浦義村は出てこない。
さらに義盛は弟和田義茂(配役なし)に救援を求めた。
兄の危機を救うべく遅れて参着した義茂が、遠くにいる兄義盛の指示を間違って解してしまったことで、大混乱の合戦となっていくのだ。
何だかグチャグチャですね。
次回のコラムでは、拙著『鎌倉謎解き散歩』で扱った文章があるのでそれをご紹介します。
今週は、三浦一族にスポット当てて、『鎌倉殿の13人』をより楽しく見ていただけるようなコラムにしたいと思います。(続く)