【山本直人氏 インタビュー②:マス広告が不調な理由 後編】
ネットトレンド研究室インタビュー第3弾。
今回は山本直人氏にインタビューしました。
全4回に分けてマーケティングについてのお話をお伺いしました。
山本直人氏については、下記URLをご参照下さいませ。
naoto_yamamoto:自己紹介およびこれまでの経歴について
Q ものの普及のペース、陳腐化するまでのペースが加速していると感じます。
それの原因を考えると、グローバル競争が進んでいて値段が下がるのが
早いからでは無いかと思います。
薄型テレビ等が分かりやすい例だと思うのですが、
市場シェアをある程度取ればプレミアムで儲けることができると
いわれていたのが、今はその期間が短くなっていますよね。
プレミアムで儲けられる期間が短くなるということは価格戦略に
切り替わるのが早いということです。
薄型テレビも最近やっと下落が止まったようですが、かなり早いペースでした。
ということは、広告費が販促費に切り替わるのも早いということですよね。
だからグローバル競争もマス広告費が減っている原因の一部だと思います。
Q ということは、マス広告不調の原因として考えられるのは
ネット広告が出てきたという理由だけではないということですか?
そうです。流通の問題や普及期やグローバル競争というさまざまな要因で
マス広告が機能不全になっていたところに、ネットが新しく出てきた。
ということではないかと思います。
細かいところで言えば人口が減っているにもかかわらず、
相変わらず視聴率が基準っておかしいですよね。
人口が減っているんだから、今の1%って昔よりも人数が少ないはず
だと思います。だから対費用効果はわり高になっていているということですよね。
最もCMの効果が高いと言われる
2005年の20代人口は1995年の80%くらいですから。
同じ視聴率のプログラムに同じ額を払えば、おそろしく非効率になるのです。
人口のお話をすると、東京に再び人口が集中していますよね?
ということは、全国に一律にキャンペーンやるよりは東京を厚くしたほうが
効率の良いキャンペーンになると思います。
そういう意味で東京ないしは首都圏という空間をメディアと考えると、
東京の媒体価値は高まっていると感じています。
Q マス広告不調の原因はインターネットの登場、普及率、グローバル化
組織小売、人口不均衡などさまざまな要因によるということですね。
はい。
さらにそれらの原因を考えてみると、冷戦の崩壊に行き着くのではないかと
思います。
冷戦崩壊以前はアメリカの保護の元で育った日本は、
体制が崩壊してからその手厚い保護を受けなくなりました。
それで、マーケットを開放せよと言われたり、規制緩和をしろといわれて
流通では現在のイオン等の組織小売が出てきた。
普及率を加速させているグローバル化も、冷戦構造が崩壊しなければ無かったですよね。
そういう観点でいうと、インターネットの誕生も冷戦の崩壊の縁ですよね。
アメリカの軍部が推進しようとしていたものが冷戦の崩壊で
外部にも開放された。
マス不調の主要なドライバーは実は冷戦の崩壊がトリガーに
なっていると見ることができると思います。
90年代の半ばの日米の構造協議で、金融に圧力がかかったときに
その時にアメリカはメディアにも圧力をかけていたようです。
これは当時関係者から聞いたのですが
通産省が動いたのではないかという説もあったようです。
インターネットで恩恵をこうむるエレクトロニクス産業は通産省の管轄なんですよね。
だからメディアの保護に切り込もうとしたらしいのです。
でも当時はまだ電波利権をおさえていた旧田中派の力がまだ強かったんですよ。
だからメディアは保護されたんですね。
あとは、マードックが衛星放送をやると日本に来て
ソニーとフジテレビとかがからんで、いろいろありましたよね。
でも結局日本のメディアは危機を乗り切ってしまった。
それで、乗り切ったので改革が先送りになってるんですよね。
【関連】
【山本直人氏 インタビュー①:マス広告が不調な理由】|CAネットトレンド研究室ブログ
今回は山本直人氏にインタビューしました。
全4回に分けてマーケティングについてのお話をお伺いしました。
山本直人氏については、下記URLをご参照下さいませ。
naoto_yamamoto:自己紹介およびこれまでの経歴について
Q ものの普及のペース、陳腐化するまでのペースが加速していると感じます。
それの原因を考えると、グローバル競争が進んでいて値段が下がるのが
早いからでは無いかと思います。
薄型テレビ等が分かりやすい例だと思うのですが、
市場シェアをある程度取ればプレミアムで儲けることができると
いわれていたのが、今はその期間が短くなっていますよね。
プレミアムで儲けられる期間が短くなるということは価格戦略に
切り替わるのが早いということです。
薄型テレビも最近やっと下落が止まったようですが、かなり早いペースでした。
ということは、広告費が販促費に切り替わるのも早いということですよね。
だからグローバル競争もマス広告費が減っている原因の一部だと思います。
Q ということは、マス広告不調の原因として考えられるのは
ネット広告が出てきたという理由だけではないということですか?
そうです。流通の問題や普及期やグローバル競争というさまざまな要因で
マス広告が機能不全になっていたところに、ネットが新しく出てきた。
ということではないかと思います。
細かいところで言えば人口が減っているにもかかわらず、
相変わらず視聴率が基準っておかしいですよね。
人口が減っているんだから、今の1%って昔よりも人数が少ないはず
だと思います。だから対費用効果はわり高になっていているということですよね。
最もCMの効果が高いと言われる
2005年の20代人口は1995年の80%くらいですから。
同じ視聴率のプログラムに同じ額を払えば、おそろしく非効率になるのです。
人口のお話をすると、東京に再び人口が集中していますよね?
ということは、全国に一律にキャンペーンやるよりは東京を厚くしたほうが
効率の良いキャンペーンになると思います。
そういう意味で東京ないしは首都圏という空間をメディアと考えると、
東京の媒体価値は高まっていると感じています。
Q マス広告不調の原因はインターネットの登場、普及率、グローバル化
組織小売、人口不均衡などさまざまな要因によるということですね。
はい。
さらにそれらの原因を考えてみると、冷戦の崩壊に行き着くのではないかと
思います。
冷戦崩壊以前はアメリカの保護の元で育った日本は、
体制が崩壊してからその手厚い保護を受けなくなりました。
それで、マーケットを開放せよと言われたり、規制緩和をしろといわれて
流通では現在のイオン等の組織小売が出てきた。
普及率を加速させているグローバル化も、冷戦構造が崩壊しなければ無かったですよね。
そういう観点でいうと、インターネットの誕生も冷戦の崩壊の縁ですよね。
アメリカの軍部が推進しようとしていたものが冷戦の崩壊で
外部にも開放された。
マス不調の主要なドライバーは実は冷戦の崩壊がトリガーに
なっていると見ることができると思います。
90年代の半ばの日米の構造協議で、金融に圧力がかかったときに
その時にアメリカはメディアにも圧力をかけていたようです。
これは当時関係者から聞いたのですが
通産省が動いたのではないかという説もあったようです。
インターネットで恩恵をこうむるエレクトロニクス産業は通産省の管轄なんですよね。
だからメディアの保護に切り込もうとしたらしいのです。
でも当時はまだ電波利権をおさえていた旧田中派の力がまだ強かったんですよ。
だからメディアは保護されたんですね。
あとは、マードックが衛星放送をやると日本に来て
ソニーとフジテレビとかがからんで、いろいろありましたよね。
でも結局日本のメディアは危機を乗り切ってしまった。
それで、乗り切ったので改革が先送りになってるんですよね。
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