根付収集を趣味としている僕ですが、この根付には大きく二つのジャンルがあります。ざっくり言えば「古典」と「現代」。そしてその分け方は、主に“時代”によるものです。
江戸時代の根付は、実用品でした。印籠や煙草入れなどの提物を帯から吊るすための留具として、日常の中に溶け込んでいたのです。とはいえ、ただの道具ではありません。町人たちはそこに洒落や粋を込め、職人たちは掌の中に物語を彫り込みました。
七福神が笑い、獅子が吠え、鬼と鍾馗が戦います、唐子に仙人が一緒に佇む場面も──そんな情景が、黄楊や象牙の小さな塊に宿っていました。そんな古典根付は、江戸時代の文化的背景を持つ美術品として現代では世界中のオークションアイテムにまで上り詰めています。
まあ、あまり高く評価されても収集する側としては大変なのですが。(笑)
一方、現代根付は、実用性よりも芸術性や個性が重視されます。昭和の後半から、根付は“鑑賞するもの”として再評価され、作家たちは自由な発想で作品を生み出すようになりました。素材も技法も題材も、ぐっと幅広くなり、時には「これは根付なのか?」と首をかしげるような作品も。でも、それもまた面白い。根付は、時代とともに変化しながらも、掌の中に世界を宿すという本質は変わらないのです。現代根付師達の技も深化し、江戸時代の根付師をも超える技の切れをみせる根付も現れています。今では、コンテンポラリー根付として内外の愛好家から高い評価を得て現代に君臨しています。
僕の掌には、江戸の虎と令和の鵺が並んでいます。 掌の中の物語は、時代を越えて、僕たちの日常にもそっと寄り添ってくれる─そんな気がするのは、、、、きっとコレクターだけでしょうね。(笑)



