「僕の予想は高くて200万。まさか、それを軽々と超えて360万とは──思わず目を疑いました。。」
最近、現代根付の評価が今までよりも上昇しているような気がします。特に注目すべきは、毎日アートオークションで落札された中村雅俊氏の「⾧足美人さし根付」。1973年制作のこの作品が、なんと360万円という高額で落札されました。予想落札価格は45万〜65万円だっただけに・・・。僕の予想は安くて100万、高くて200万程度でした。予想高値を遥かに超える価格は、現代根付の人気を裏付けているといってもよいのではないでしょうか。
現代根付とはなにか?
根付は、江戸の粋を支えた実用品。煙管や印籠とともに、人々の暮らしに寄り添っていました。歴史を振り返ると、開国後の煙管筒の発達や巻きタバコの台頭により、実用品だった根付は衰退の一途をたどります。それでも開国後、海外向けとしての根付の需要と国内の富裕層向けに細々と続いていきます。
第二次世界大戦後には、再び現代根付として蘇ります。皇室の高円宮様や米国のキンゼイ氏のような有力コレクターを中心に、国内外のコレクター需要が高まります。そのようなコレクターに供給したのが現代根付師達でした。中でも進駐軍として来日していたレイモンド・ブッシェル氏は、中村雅俊を支援しお抱え根付師として、彼の作品を海外で紹介して販売していきます。ブッシェル氏は、雅俊に日本では貴重な素材を提供してたと言われています。この作品が生まれたのは、雅俊氏がブッシェル氏の支援を受けていた頃。素材も技術も、まさに“選ばれし根付師”の証、その時代の空気をまとった作品です。
中村 雅俊
⾧足美人さし根付
1973(昭和48)年 河馬牙に彩色 H13cm×W2.9cm×2cm
予想落札価格:¥450,000~¥650,00
落札価格3,600,000円
デパート展示会中心だった現代根付市場が、いま再流通の波に乗っています。今、戦後に制作された根付達が、いま再び市場に姿を現し始めています。第一世代のコレクターの手を離れ、次の物語が始まろうとしているのです。中には、この差し根付のように高評価を得るものも出てくるでしょう。
今回の落札結果は、現代根付が単なる伝統工芸ではなく、国際的な美術市場でも高く評価されていることを示しています。中村雅俊氏の作品がその象徴であり、今後の根付市場の動向からも目が離せません。実は、僕のコレクションボックスにも、中村雅俊の1970年代の作品がひとつ。もしかして…と、つい見直してしまいました。まー、捕らぬ狸の皮算用ですけどね。(笑)





