裏干支根付~江戸の洒落と十二支の偏りを考える♪♪~ | 根付道<Netsuke Road>

根付道<Netsuke Road>

気楽にぶらぶら、根付蒐集の道を歩くブログです。

蛇と猪の裏干支根付

 

✦ 裏干支根付という、江戸の洒落と図柄の妙
 動物が二体組み合わさった根付というものが、極まれに世に出てくることがあります。海外の根付オークションを見ていたら、写真のような「蛇&猪」や「虎&猿」の組み合わせがありました。動物根付が好きなコレクターは沢山いますが、裏干支根付を持っている人となると、ぐっと少なくなるのが現状です。ですので、これはメチャ跳ねそう。(笑)

 裏干支とは、干支の正対する組み合わせを洒落として表した図柄で、江戸時代には「陰陽のお互いの欠けた部分を補いあう良い組み合わせ」「縁起の良い図」として親しまれていました。
現代ではすっかり忘れ去られた縁起担ぎですが、意味を知ると根付の世界が一段深く見えてきます。

「縁起が良いなら、もっと数があってもいいのでは?」
そう思うかもしれませんが、僕の考えでは──

* 1つ彫るのと2つ彫るのでは手間賃が違う。
* 1体の根付なのに、実質2体分の手間がかかる。
そりゃ少なくなるよね(笑)知らんけど(笑)
そんな冗談を言いたくなるほど、裏干支根付は本当に少ないのが現状です。

 

蛇と猪の裏干支根付裏干支根付 卯と酉の組み合わせ

 

✦ 十二支の動物根付には「偏り」がある
現存する根付を見ていると、十二支の動物には明らかな偏りがあります。

* 多い干支:鼠、虎、龍、猿、犬
* 極端に少ない干支:羊、蛇、猪
* 中間の干支:牛、兎、馬、鶏


もちろん、干支によって子供の出生率が変わるわけではありません。
つまり、これは単純に「図柄として選ばれたかどうか」の差です。

猪は田畑を荒らす害獣で、
蛇は生理的な嫌悪感が先に立ち、
羊は日本ではほぼ見られず山羊で代用──
そんな事情が重なって、自然と少なくなったのではないかと思っています。

裏干支はその“少ない干支”同士を組み合わせることもあるので、
必然的に現存数がさらに少なくなるわけです。
木彫りの猿と虎の根付

✦ 裏干支根付の面白さ
 こうした裏干支の背景を知ると、根付は単なる小さな彫刻ではなく、
意味と遊び心が詰まった“江戸の文化” だったことが分かります。

裏干支は現代ではほとんど忘れられた縁起ですが、根付の世界では確かに息づいていた江戸の洒落です。

十二支の偏り、図柄の選別、彫り手の事情──
はっきりしたことは分からない部分も多いですが、自分であれこれ考えるのも根付の魅力のひとつ。
裏干支根付は、その“考える楽しさ”を存分に味わえる題材ではないでしょうか。ただし、高くて入手困難なのが難点なのですけどね、、、(泣)

 

猿と虎の裏干支根付裏干支根付 猪と蛇の彫刻