― 売れ残りセールから見える海外根付市場のクセ
Zackeのオークションページ(208回)を見ていると、どうやら根付の売れ残りセール(After Sale)が始まっているようです。
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https://www.zacke.at/auction/search/?au=208
造形美がイマイチだったり、銘が微妙だったり、コンディションが悪かったり、作風が平凡だったり、あるいは「なんとなく」海外コレクターの心に刺さらなかったり――そんな理由で入札されなかった品々が並んでいます。


今のユーロは、手数料込みで200円前後。
このレートで日本から入札するのは、よほど好きな一品がある場合以外はおすすめしません。為替の不利・送料・保険・手数料を考えると、どうしても割高になってしまうからです。
とはいえ、そんな中でも「おっ」と思わせる面白い品がいくつか出ていました。
■ LOT1638:分服茶釜 ― 道乐(どうしょう)の置物根付
今回一番目を引いたのが、LOT1638の分服茶釜。
銘は「道乐」。あの大阪の道乐か?と思って銘鑑を確認したら、やっぱり同一人物でした。


作品は、茶釜に化けた狸に、和装の女性がビックリ仰天してひっくり返っている図。造形がメチャクチャ凝っていて上手い。透かしの技巧や立体造形は「凄い」の一言です。
ただし、根付としてはありえないほどの突起物だらけ。
実用したら一発で壊れるのが前提の“置物根付”ですね。
明治頃の海外向け作品には、こういう和柄図柄で置物風の根付が時々出てきます。
根付師も時代の変化に合わせて作風を変化させていくので、この道乐も海外向けに、こんな遊び心全開の作品を作っていたのでしょう。

コレクター心をくすぐられる、実に面白い一品でした。
……まあ、買いませんけど(笑)
■ 海外オークションは「市場のクセ」を学ぶ場
Zackeを含めた海外オークションは、本当に色々な品が出てきます。
日本ではまず見ないタイプの造形、明治期の海外向けの和柄作風、時代の流れで評価が変わった作者、高額が付く根付師や作風など、海外市場ならではのクセがよく見えてきます。
こういった品を見るだけでも、海外では何が刺さらないのか、どんな作が評価されるのかその傾向が自然と分かってきます。かつて進駐軍とともに来日した有名コレクター、ブッシェル氏は、日本で安値で根付を買い集め、コレクションに入れない品は海外コレクターに高値で転売していたと言われています。
この話からも分かるように、コレクターとして “海外市場の動向” を知ることは大きな財産 です。
知らないよりも知っていることで、見えてくる世界がまるで違う。
そういった意味で、昔からある海外オークションのカタログや銘鑑を持つことは、今でも非常に価値があると感じています。
■ 売れ残りの中にこそ「学び」がある
今回のZACKeの売れ残りセールは、平凡な作品や彫りが甘い作品、造形の好みが分かれる作品が多い印象でした。
しかし、その中に紛れている“面白い一品”を見つけるのがまた楽しい。
たとえ入札しなくても、海外オークションは 「学ぶ場」 として非常に優秀だと改めて感じました。最近はネットで電子カタログを簡単に入手できるので、昔よりずっと便利になりました。
とはいえ……こういった“売れ残りに似た雰囲気の品”が、実際に骨董市に出てくると、つい買ってしまうのがコレクターの難儀なところ。
困ったもんです、、、(笑)


