イケオジ先生は見た!

イケオジ先生は見た!

保育ライターが観察した保育園の実情と園児の実態

サマーキャンプに発達障害児は適応できるのか

 

夏休みシーズンになると、一部の保育園や幼稚園の4・5歳児クラスはサマーキャンプを行うところがあります。子どもたちにとっては親と離れての一泊二日の冒険にわくわくが止まりません。しかし、誰もが歓迎されるわけではないという現実もあるのです。

 

 

<辞退を促された障害児>

 ある保育園では過去に苦い思い出があった。発達障害児を参加させたものの興奮から落ち着きがなくなってしまい、一人の保育士がずっと付きっきりになるなど、予定が狂ったり行事に差し障りが出たりしたのである。

 それをきっかけに翌年から発達障害児には遠慮してもらうという方針に切り替えた。

 

 保護者の中には異を唱える者もいた。

 4歳児クラスの発達障害児の父親は不参加のお願いに対して激怒した。

「うちの子を差別するのか!」「保育園で預かれるほどなら大丈夫じゃないのか!」

 ……園の集団生活でどのような行動を取っているのかを知らないから納得がいかないのである。母親は日常の大変さを経験済みなので冷静に受け止めていたが、父親の怒りは収まらなかった。

 

 多くの発達障害児を見てきた私としても、その子は手のかかる子だったので参加は難しいと思えた。

 こちらの話は通じているのだが言うことを聞けない。聞かないのではなく聞けないのだ。食事は食べ散らかして、テーブルと床がいつも汚い。もうすぐ5歳になろうというのにまだオムツが取れない。こういう子が一人いると、集団行動が乱れるし、保育士の手間がかかってしまうのが現実。一人だけオムツが取れないというのもタイトなスケジュールの中で手を煩わすことになる。

 

 納得のいかない父親は園側に説明を求めてきた。園としても幹部クラスの役員数名が対応し、懇切丁寧に説明をした。その結果1時間以上の話し合いで渋々了承してもらうことができた。

 

 実はこの年、同じ4歳児クラスにもう一人発達障害児がいた。先の子と同様にオムツが取れていなかったが、先の子ほどに手のかかる子ではなかった。

 それでもこの子の両親は、参加の辞退にすんなりと応じてくれた。「慣れない環境でパニックを起こすのが心配だから」と理解を示してくれたのである。

 

 親によって差があるものだ。仕方のないことだが……。

 

 

<口先だけのサマーキャンプ>

 保育園児ではないが、小学生2年生で酷い目に遭った男の子がいる。まだ、発達障害という言葉が世間に浸透していない頃の話だ。その子は当時ADHDと診断されていたが、それもまだ詳しくは知られていなかった。そのため親はなんとかして普通の子に近づけてやろうと民間のあらゆる手段を利用して改善策に取り組んでいた。

 そのひとつとして選んだのが東北で行われていたサマーキャンプだったのである。

 

 そのサマーキャンプは小学生を対象としており、1週間の合宿生活を通し自然の中で心身を鍛えるというものだった。男の子は父親とキャンプ体験をしたことがあるので少しは慣れている。また、キャンプ主催者の参加者募集の触れ込みが『自閉症の子でも大丈夫。立派に成長します!』というものだったので親は期待を込めて送り出した。

 

 ところが、2日目の朝に主催者から親元に突然電話が掛かってくる。引き取りに来てくれと言うのだ。面倒が見きれないし、他の参加者の迷惑になるからと。まるで厄介者扱いである。

 聞くところによると、ただでさえ集団行動がとれずに迷惑をかけていたところに、説教をされると自暴自棄になり首つり自殺の真似をしたという。怒った主催者は男の子にビンタを喰らわせた。いくらなんでも2年生にビンタというのはどうかと思うが……。

 

 男の子を迎えに行った親に対し、主催者は放棄した自分たちの無力さを詫びるどころか悪態をついたという。

「こんな酷い子だとは思わなかった! 自閉症にも程がある。ここまで酷いなら先に言っておいて欲しかった。そうすれば参加させなかったのに」

 ……だったら触れ込みに「軽い自閉症の子だけ参加可」とでも書いておけばいいのにと思うのだが。

 

 結局、商売なのだ。所詮、金儲けで子どもを集めているだけなのだ。

 自殺の真似にしても、2年生が本気で死のうと思うわけがない。自分はここまで追い詰められて苦しいんだというアピールなのだ。それも分からずいきなりビンタをするのは脳みそが筋肉だからであり、そんな口先だけの主催者に発達障害児は任せられない。

 

 今は発達障害という言葉が世間に知れ渡っているので、多くの障害児を対象とした専門のシーズンキャンプが多くある。また、一般でも自閉症の子を受け入れるところは専門の指導者を入れている。しかし、そうでないところに淡い期待を持って子どもを預けることはできない。

 指導者の質も問題だ。商売目的のところに子どもを送り込まないように、民間のサマーキャンプ参加を考えている親はしっかり調査することが大切だ。