1944年に結婚したドン&ミミのギャルビン夫妻は
十男二女に恵まれたが、
子どもたちは次々と統合失調症に罹患し、
最終的に男子6名が診断を受けることになります。
病を引き起こしたのは遺伝か環境か。
現在は環境がトリガーとなって
活性化する潜在遺伝子が議論されている、という事ですが、
普通に考えて夫婦2人だけで
12人もの子のそれぞれに目を配り、
世話をするのは不可能に近いのではないか。
喧騒と混乱の毎日、
プライバシーも持てずに落ち着いた暮らしなど望めない。
ましてや力関係で弱者となる末の2人だけ
女の子という痛ましさ。
兄達から性的虐待まで受けながら、
その苦しみを乗り越えて母や兄達に気を配り続けた末子リンジーには感嘆する。
答えはないが、とてもとても重い一冊、
深い喪失感と悲しみと、微かな希望が入り混じる読後感。