こんばんは。
仕事柄、騒音問題に携わっていると、日頃耳にする音に対して「○○Hzくらいの周波数かな」などと意識してしまうことがあります。先日も歯科治療中にエアスピンドルの音を聴きつつそんなことを考えてしまいました。
(良い意味で)職業病というやつでしょうか。

ここ10年くらいで、騒音問題は状況が変化してきていると感じています。
車や住宅、オフィスなど様々な分野で静音化が進んできているのは好ましいことなのですが、逆に「今まで気にならなかった小さな騒音が気になる」という問題が増えているようです。

そもそも人間の聴覚においては、音の大小(音圧レベル:dB)だけでなく、高低(周波数:Hz)によって聴こえ方に差があります。こうした聴感特性は等ラウドネス曲線とよばれ、国際的に定められています。
人の可聴域は20Hz~20000Hzと言われますが、4000Hzの音が最も聴こえやすく、低周波になるにつれて聴こえにくくなります。たとえば、4000Hzの音に対して、250Hzの音は△10dBも音圧レベルが小さく聴こえます。
つまり我々は純粋な音圧レベルdBに対して、実際にはこの聴感補正値(A特性補正値)を加算したものを聴いている訳です。

また、ある騒音が周囲の騒音によって聴こえなくなるマスキングという現象がありますが、この妨害音(マスカー)自体の周波数よりも高い周波数の音の方がマスクされやすい特性があります。

このほか、音の純音性や時間的変動等によっても聴こえ方は異なりますので全てが当てはまる訳ではありませんが、冒頭の「今まで気にならなかった小さな騒音が気になる」という問題は、「周囲の騒音によってマスキングされていた」、「聴感感度の高い高周波の音」が原因となっていることが多い傾向があると思います。

ちなみに、4000Hzはちょうど聴覚検査で聴くピーという高い方の音です。
比べてみると、歯科治療の音も、高い音(高周波音)であることが判りますよね。

少し長くなってしまいましたが、皆様も時々身近な音に耳を傾けてみては如何でしょうか?
実は普段から様々な種類の音に囲まれていることに気が付くと思います。

ご存知の方には釈迦に説法となってしまい恐縮ですが、少しでも何かのヒントになれば幸いです。

From koji-t3