フェルミ推定(フェルミ問題)というワードを知っている、あるいは、聞いたことがある人も多いに違いない。
本日は、掲題の件について以下に私見を述べたいと思う。
本日は、掲題の件について以下に私見を述べたいと思う。
ウキペディアによれば(一部を抜粋)、
-------------------------------------------------------------------------------------------
フェルミ推定(フェルミすいてい、英: Fermi estimate)とは、実際に調査するのが難しいようなとらえ
-------------------------------------------------------------------------------------------
フェルミ推定(フェルミすいてい、英: Fermi estimate)とは、実際に調査するのが難しいようなとらえ
どころのない量を、いくつかの手掛かりを元に論理的に推論し、短時間で概算することを指す。
オーダーエスティメーションともいわれる。
例えば「東京都内にあるマンホールの総数はいくらか?」「地球上に蟻は何匹いるか?」など、見当
例えば「東京都内にあるマンホールの総数はいくらか?」「地球上に蟻は何匹いるか?」など、見当
もつかないような量を推定する。
-------------------------------------------------------------------------------------------
-------------------------------------------------------------------------------------------
一部企業では、採用活動(面接試験)にフェルミ問題を出題しているようである。(googleの面接試験)
物理学者であれば、「どんな問題に対してもフェルミ推定ができないといけない」らしい(←ある著名な
物理学者がTVで、「 」に示す発言をしてた)。
さて、機械設計者の場合は、「フェルミ推定」は必要であろうか。・・・・命題
製品設計・装置設計の段階において、要求仕様や、与えられた課題が漠然・混沌としたものが
少なからずある。
こうした仕様や課題に直面した場合、いくつかの手掛かりを元に論理的に推論(構想)するわけ
こうした仕様や課題に直面した場合、いくつかの手掛かりを元に論理的に推論(構想)するわけ
であるが、細部にこだわり過ぎて、結論にたどりつくまでに過大な時間と無駄と思える労力を掛
けている場合が多いように思える(←自分自身の振り返り、反省も込めて)。
機械設計者は、大ざっぱに本質を見抜き、短時間で概算する能力が必要ではないかと思う。
実際の装置設計、構想事例を引合いに出すと、話が煩雑になるので直近の相談事例にて、
機械設計について考えてみたい。
《概要》
「耐震設計が必要な機器において、転倒しないという保証をしたいが、計算プロセス・結果の
《概要》
「耐震設計が必要な機器において、転倒しないという保証をしたいが、計算プロセス・結果の
妥当性を判断して欲しい。」と言うのがその相談の骨子である。
《条件》
1)機器の高さは1000ミリで、機器は高さ700ミリの角形鋼管上に搭載している(全高1700ミリ)。
2)重心位置の高さは1400ミリ(推定値)。
3)角形鋼管には四角の板状フランジが溶接され床材(H鋼)に(ボルト4本で)固定している。
《妥当性を評価したいもの》
固定ボルトの太さを計算したが妥当性について良し悪しの判断ができないでいる。
《条件》
1)機器の高さは1000ミリで、機器は高さ700ミリの角形鋼管上に搭載している(全高1700ミリ)。
2)重心位置の高さは1400ミリ(推定値)。
3)角形鋼管には四角の板状フランジが溶接され床材(H鋼)に(ボルト4本で)固定している。
《妥当性を評価したいもの》
固定ボルトの太さを計算したが妥当性について良し悪しの判断ができないでいる。
◆計算書を見て気になった点
1)機器の設置環境、耐震基準など最も重要なものが欠落している。
2)公式(耐震評価の公式)の出典、適用の妥当性が不明である。
3)地震に対する物理的なイメージが明確にできていない状態で公式を使っている。
荒っぽい言い方をすれば、公式に振り回されているように思える。
4) モデル化した図に外力(地震力)を書き込んであるが機器の転倒に関係する力の
2)公式(耐震評価の公式)の出典、適用の妥当性が不明である。
3)地震に対する物理的なイメージが明確にできていない状態で公式を使っている。
荒っぽい言い方をすれば、公式に振り回されているように思える。
4) モデル化した図に外力(地震力)を書き込んであるが機器の転倒に関係する力の
特定にいくつかの疑問点がある。 「力の三要素(大きさ、向き、作用点)」があやしい。
◆耐震評価の公式を持ち出す前に考えたいこと
①まず、地震をできるだけ正確にイメージすることが大切ではないかと思う。
そうすれば、不明・曖昧な点が浮き彫りにされ、推定してよいもの、推定
ではだめなものが峻別でき、公式に振り回されることも少なくなる。
そうすれば、不明・曖昧な点が浮き彫りにされ、推定してよいもの、推定
ではだめなものが峻別でき、公式に振り回されることも少なくなる。
少ない情報であっても、正解(大ざっぱな近似解を指す)に近づく方法を
考えたい(要は、最初の段階で安直な公式探しは避けたいということ)。
考えたい(要は、最初の段階で安直な公式探しは避けたいということ)。
②正確さが求められるものは、聞く、調べるなどが必要である。その後、正確な
情報(一部推論が含まれるかもしれないが...)をもとに数値計算を実施する。
情報(一部推論が含まれるかもしれないが...)をもとに数値計算を実施する。
【手順例】・・・これはベストではなく参考例である。
(「課題~解の導出」までをフローチャートにすることも一案)
①機器が転倒するとはどういうことかを考え、最も転倒しやすい状態をイメージ
(「課題~解の導出」までをフローチャートにすることも一案)
①機器が転倒するとはどういうことかを考え、最も転倒しやすい状態をイメージ
する(正確にイメージできることが前提)。
②実際の状態をモデル化し、モデル化した図に外力(地震力)を書き込む
(耐震基準を基にした)外力(地震力)の大きさ、向き、作用点を確定する。
③機器が最も転倒しやすい状態を特定し、転倒する場合の支点を確定する。
④転倒し始めの際に固定ボルトに与える力学的な影響を考える。
(ボルトに作用する力、引張応力、ボルトの破断など)
⑤耐震評価の公式適用、ボルトの応力計算式の適用
②実際の状態をモデル化し、モデル化した図に外力(地震力)を書き込む
(耐震基準を基にした)外力(地震力)の大きさ、向き、作用点を確定する。
③機器が最も転倒しやすい状態を特定し、転倒する場合の支点を確定する。
④転倒し始めの際に固定ボルトに与える力学的な影響を考える。
(ボルトに作用する力、引張応力、ボルトの破断など)
⑤耐震評価の公式適用、ボルトの応力計算式の適用
機械設計において、フェルミ問題のような、とらえどころのない問題に直面する機会は
少ないかもしれないが、漠然とした問題に接する場合は、フェルミ推論で活用する思考
プロセスは、大変有効ではないかと思う。
技術者は、「風が吹けば桶屋がもうかる」のような論証の飛躍はさけるべきであり、
フェルミ推論に近い論証をする場合は、「前提や推論の方法の違いによって結論に
かなりの誤差が生まれることがある。」という点に注意を払う必要がある。
フェルミ推論に近い論証をする場合は、「前提や推論の方法の違いによって結論に
かなりの誤差が生まれることがある。」という点に注意を払う必要がある。
短時間で概算することは、目的によっては、時間をかけて正確さを追及することよりも、
重要であることも少なくない。
【結論】
フェルミ推論は機械設計にも活用できる有用な思考プロセスではないかと思う次第である。
フェルミ推論は機械設計にも活用できる有用な思考プロセスではないかと思う次第である。
以上。