こんにちは。関東支部のhideです。

今年のゴールデンウィークは、業務上のクレームによる休日出勤から始まり、ツーリングに出かけてスピード違反で捕まり、挙句の果てには、部署のバーベキューで足を負傷して自宅療養する羽目になるという、非常にかっこ悪い黄金週間となってしまいました(T_T)。その話自体もひどい話なのですが、今回は、ひょんとしたことから、うっかり安請け合いをしてしまい、とんでもない大仕事となってしまった講演会の話を書きたいと思います。

私が技術士になったのは、2008年のことです。そのころの私は、技術士になったことで浮かれていました。名刺に技術士(機械部門)と書かれたことで、社内の知名度が上がり、周りからちやほやされたことで、大した実力も無いのにプライドだけがついてしまったという困った技術者になりつつあったと思います。そんな私が、ある日、技術士会の機械部会の合格祝賀会に出席することになりました。祝賀会は、部会長の乾杯の挨拶から始まり、皆、いい気分でビールを飲んでいたところ、会の幹部の方から、「新しい合格者の方は、紙飛行機を飛ばしてもらうので集まってください。」と声がかかり、私は、言われるがままに紙飛行機を飛ばしました。他の出席者の紙飛行機が順調に距離を伸ばす中、私の紙飛行機は、あっという間に地面に落ちてしまい、プレゼントをGETできずにその場を去ることになりました。

と、そこまでは、まったく普通の展開だったのですが、その後に信じられない言葉が幹事の方から発せられたのです。「今回、紙飛行機を飛ばしてくれた合格者の皆様には、機械部会で講演をやってもらうというプレゼントがあります。めったにない機会なのでぜひ、チャレンジして下さい。」私は、酔っぱらっていたせいもあり、「まあ、結婚式のスピーチの練習くらいになればよいかな。」という非常に浅はかな考えで、ぜひやらせてくださいと答えてしまったのです。これが悲劇(喜劇?)の始まりでした。しばらくは、何も連絡が無かったので、幹事さんも酔っぱらって勢いで話してくれただけなのかなと思っていたのですが、ある日、機械部会の幹事の方から知らせが届きました。内容は、「講演会講師一覧」だったと思います。詳しいことは忘れましたが、少なくとも私にとってはこのメールが講演会の最後通告となりました。

正直、一人で講演会なんてやったことありませんし、話すためのトピックも思い浮かびません。その時は、引き受けたのはいいけれど、どうしたらいいんだろうと頭を抱えてしまったのが本音でした。そのうち、機械部会から、講演のお題を送ってくれというメールが届きます。実は当時、私は17年間在籍した部署を転籍となり、新しく移った部署も2年足らずで異動になるという有様で、技術士会の重鎮さんの前で何を話していいかなんて考えつきもしなかったというのが正直なところだったのです。(当時の機械部会の皆様、ごめんなさいm(__)m。)とりあえず、お題は、17年間在籍していた交通関連のトピックを選んで、内容を練ることにしました。

私の講演は、2009年の6月の機械部会でした。しかし、ゴールデンウィークまで講演内容など何も決めていませんでした。結果として、今年と同じ最悪のゴールデンウィークを迎えることになりました。当時、パワーポイントは、会社のパソコンにしか入っていなかったので、プレゼン資料を作成するためには強制的に会社に行くことになります。当時の私の部署は、夏になると蚊が飛んでくるとてもナイスな環境で、汗を拭きながら内容を考えました。まずは、交通信号の歴史を語ってみようと考え、会社の年表を引っ張り出して何とか形を整えました。その後、交通システム全体の話から各機器の話題に持っていき、途中、私が取り扱っていた交通信号灯器の話題を取り上げて、最後は、交通信号の最新動向を紹介する内容で話をまとめました。会社の元上司に内容を確認してもらい、全て準備が整ったのは6月の頭でした。さあ、いよいよ講演です。

講演当日は、少し早めに会場に入って周りの雰囲気に慣れることにしました。しかし、いきなり、会場に入った私の目に飛び込んで来たのは、プレゼンを録画する装置です。講演が終わった後に、技術士会のホームページで講演内容を閲覧できるようになるという、私にとっては緊張を増幅させるありがたい知らせです。「ええっ!!この講演が、未来永劫、閲覧できるようになるの!!」後悔しても後の祭りです。もう仕方がないので覚悟を決めて始めることにしました。幸い?にも当日は、2部構成となっていて、最初に講演した方のプレゼンが素晴らしく、2番目にやることになった私にとんでもないプレッシャーが襲ってくることになりました。それから先は、あまり覚えておりません。まず、鈴を2回鳴らされて、はっと我に返って必要なことを話すことが出来なかったことが記憶にあります。他には、最後の質疑応答の際に出席者の方から、私の講演内容の間違いを指摘され、苦笑いをしながら対応したことも良い思い出となっています。今から考えると、当時、プレゼンに全く慣れていなかった私は、講演時間を稼ぐことだけに気を取られすぎて、聞き手に全く配慮できていなかったと思います。講演を初めて何分かすると寝始める人が出る始末で、この話一つ取っても、私がどれだけきちんと話が出来ていなかったのかを物語っています。

正直、ほろ苦い講演デビューとなりましたが、この経験によって得られたものがものすごく大きかったのも事実です。この講演の後、私は、プレゼンに慣れたせいか、人前で話す際に、ほとんどのシチュエーションにおいて無難に話ができるようになりました。今から思えば、あの紙飛行機は、私に試練を与えてくれた幸運の紙飛行機だったのかもしれません。また、蚊に刺されながらもがいたゴールデンウィークも今となっては良い思い出です。でも、今年の様に警察に捕まり、怪我までしてしまうようなケースは、もう御免ですが・・・。
でわ、次回またお会いしましょう!!