最近、「人工臓器はいま」という本を読み返した。

7~8年前に技術士試験で、遠心ポンプについての業務体験論文を準備している際に、将来展望で書くことが全く思いつかなかった。そして私は苦し紛れにポンプを人工心臓に適用させて、業務体験の将来展望としたのだ。
その時に医療関係の技術者として活躍されている先輩技術士に紹介して頂いたのが、この「人工臓器はいま」である。この本をおおいに活用させて頂いて、なんとか業務体験論文を書き上げることができた。
今では、山中教授や小保方晴子さんで再生医療が注目されているが、そちらは主に生物工学や分子工学などのテリトリーなので、機械屋の我々にはちょっと縁薄い世界である。
ところが、この「人工臓器はいま」にでてくる人工臓器たちは、電気で駆動したり、流体工学が適用されたり、比較的柔らかい材料達が使われる、まさに機械の世界であった。流体工学の私にとっては、心臓=ポンプ、心臓弁=バルブ、血管=パイプであったのだ。
その時は、試験に必死で人工心臓の項以外は全く読まずに、書庫の奥で眠っていた。それを先日、最初から最後まで読み通すと、これがまた面白い。心臓、関節、皮膚、肝臓・・・全て、精密にできた柔らかい機械達なのだ。
詳しい内容は割愛するが、印象的な部分を3ヶ所ほど抜粋する。
①眼鏡は人工臓器?衣服も人工毛皮・皮膚?
②「人工臓器の研究者になるにはどうしたらよいでしょうか?」私は必ず「工学部の機械系学科や電気工学科、化学系学科に行きなさい」と答える
③色々な立場から・・・(中略)・・・人類に貢献できるライフワーク
「機械工学部を卒業=メーカーに就職」っていう考えしか無かった私には、機械技術者にも医療に携わるという道があるのかと目に鱗。そして、もし私がそちらの道に進んでいたら・・・などと、少し妄想したのも楽しかった。
以上