新年快乐,羊年大吉(シンニィエン・クァイレ、ヤンニィエン・ダージー)
 今年は平年より少し遅かったのですが、今週の木曜日219日が春節(Chinese New Year)、旧暦の正月にあたります。この春節期間中では延べ29億人の中国の方々が国内外を移動するそうです。その中には日本を訪問する中国の方も少なからずいるかと思います。日本の主たる観光地やショッピングエリアでは、今ごろ中国語が響き渡っているかもしれませんね。
 中国の方にとって日本は、タイ、ハワイに次いで3番目に人気のある旅行先です。2014年に日本に訪れた中国人観光客は240万人を超え、前年比80%以上の大幅増加となったそうです。観光客が増えた大きな要因の一つとして、リピータの増加だそうです。日本と中国の関係改善が見られない中で、民間レベルの訪日ブームは「政冷民熱」の現象を作り出しています。日本入国のためのビザを取ることが緩和されたとはいえ、中国の方にとっては日本訪問はまだ結構ハードルが高いので、距離は近くても憧れ高い国と言えるかも知れません。
 一度日本を訪問した中国の方は、買い物に対する満足度や日本で受けたサービスに対する満足度が高いそうです。買い物に対する満足度が高い要因には3つあります。一つは円安・元高効果です。今日本人にとって中国に来ると、昨今の円安でとても物価が高く感じます。私なども普段の食事や買い物を、中国でするとつい元を円に換算してしまいますが、日本より物価が高いと感じます。例えば、スターバックスでコーヒを飲むと30元、今のレートで計算すると600円近くです。逆から見ると、中国人観光客の目には、日本で売られている高級品から日常品に至るまで割安に映っています。
 二つ目はメードインジャパン品に対しての評価が高いことです。中国人にとっては、同じメーカでも海外の工場で生産しているものより日本で生産している製品を購入する傾向が強いとのことです。日本製は品質が高く、故障が少なく、寿命が長いということは中国人の方は誰でもよく知っていることなので、日本製を買って持って帰るということは日本訪問のリピータを増やす大きな源泉ともなっています。
 三つ目は、おもてなしの心です。秋葉原の家電量販店では、中国語のできるネイティブの中国人を販売員と配置して、日本人に対するのと変わらない親切丁寧なサービスを提供しています。このことは、中国人方々の買い物客にとっても安心して買い物を楽しめて、満足度も高く、つい財布の紐も緩みがちになるのではないでしょうか。私など中国で買い物をしても、相手の店員は面倒臭そうに、不機嫌な顔でお釣りを投げ返してくるようなことはしょっちゅうあることです。どちらかというと、「買って上げる」よりも「売って上げる」という気持ちが強いのが中国です。このような国から日本に来れば、とてもいい気持ちで、満足の高い買い物をしていくのだろうと思います。
 今まで中国の方が日本で購入していくものとして、ドライヤや炊飯器が有名でした。日本の免税店で中国の方が炊飯器を手に持てないほど抱えている姿をテレビで映し出されていることもありました。今年の売れ筋は、温水洗浄便座やセラミックナイフだそうです。日本製の温水洗浄便座は洗浄の強さ調整やノズル形状などの機能が優れている、弁座がすぐに暖まるなど、中国製では決して得られない満足度があるとのこと。確かに中国のホテルに泊まってるノズルからあらぬ方向に水が飛び出していったということも経験したことがあります。
日本のものづくりをこれから先どのようにしていくのか、日本製造業にとっては大きな課題ですが、ただコストだけを追求して海外に出ていくだけでなく、ものづくりとサービスを組み合わせて、人々の気持ちがよくなってもらうような製品を創出していくという考え方もあるのではないでしょうか。つまりはアフターサービスや丁寧な説明サービスを充実させて、消費者に満足してもらうということが、日本の製造業にとって今後も中国市場を攻めていく一つのヒントのような気がします。
余談ですが、今年の4月22日から29日にかけて、上海でモータショーが開催されます。しかしながら女性コンパニオンは廃止されるそうです。華美な肌の露出などが当局の目に止まったようです。やはりそこは社会主義国家、日本の感覚とはやはり少しズレているなと感じます。これを読んでいる読者の方にも上海モータショーを訪れる予定の方もいるかもしれませんが、あまり目の保養にはならないかもしれませんね。ただ入場者数も減って、ゆっくりと館内を見て回れるかもしれませんが。